研究課題/領域番号 |
19H03743
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
青木 浩樹 久留米大学, 付置研究所, 教授 (60322244)
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研究分担者 |
田中 啓之 久留米大学, 医学部, 教授 (70197466)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 大動脈解離 / 細胞老化 / 増殖応答 / 炎症応答 / 平滑筋細胞 / 組織破壊 / 組織修復 / 血管平滑筋細胞 / 炎症細胞 / 細胞増殖 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
大動脈は心臓から全身に血液を送る人体で最大の血管である。大動脈解離は、この大動脈の壁が強い痛みとともに突然裂ける原因不明の病気である。大動脈解離が悪化し命に関わる場合は人工血管に入れ替える緊急手術が行われるが、死亡することも稀では無い。 細胞に過度のストレスが加わると、その細胞が老化することが知られている。老化した細胞は本来の働きを失い組織を維持できなくなることがある。申請者のこれまでの研究で、解離組織で細胞老化が起こっていると思われた。本研究では、マウス大動脈解離モデルとヒト大動脈解離組織を使って大動脈解離と細胞老化の関わりを解き明かすことで、病気の成り立ちを明らかにする。
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研究成果の概要 |
大動脈解離は原因不明の致死的疾患である。本研究ではマウス解離モデルにおいて種々の細胞の増殖と老化が起こることを見出した。ラパマイシンで増殖応答を阻害すると細胞老化も抑制され解離が阻止された。老化細胞除去薬ABT-263をマウスに投与すると老化細胞の出現が抑制され、解離の発症・進展も抑制された。解離刺激後の大動脈壁では解離発症前にIL-6が発現し平滑筋細胞の形質が収縮型から分泌型に変化しており、ABT-263はこれらを抑制した。解離刺激はラパマイシン依存性増殖応答と細胞老化を引き起こし破壊性 炎症応答と平滑筋細胞の分泌型形質獲得を介して解離の発症・進展を促進することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大動脈解離は前触れのない強烈な痛みとともに発症し、急速に重症化して突然死を引き起こす原因不明の病気である。現時点では病気の成り立ちは不明で発症は予想できず、発症後は緊急手術以外に積極的な治療法はない。マウスの大動脈解離モデルで検討したところ、解離の発症に先立って大動脈壁の細胞に異常増殖と老化が起こることがわかった。薬で老化した細胞を取り除くと大動脈解離の発症や重症化を抑制できることがわかった。この研究をもとに解離の発症予測や治療ができるようになるかもしれない。
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