研究課題/領域番号 |
19H03906
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70384906)
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研究分担者 |
田中 昭代 九州大学, 医学研究院, 講師 (10136484)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | インジウム / コホート研究 / 肺がん / 腎がん / KL-6 / 間質性肺炎 / 肺気腫 |
研究開始時の研究の概要 |
レアメタルの1つであるインジウム吸入による肺障害は、2007年にわが国から発信された新しい職業性肺疾患で、若い男性の死亡例や動物実験の肺発がん性から、その影響はきわめて強いことが示唆された。2013年にインジウムは特定化学物質第2類物質等に指定され、積極的な労働衛生管理をしたにもかかわらず、過去に曝露したインジウムによる肺内の炎症が持続し、2017年に肺移植に至った症例を認めた。 インジウム疫学調査開始から15年経過した今、潜伏期間を踏まえ、胸部HRCT等の健康調査を行い、世界唯一、規模最大維持フィールドで、肺発がん性を含む慢性影響を検討することが目的の研究である。
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研究成果の概要 |
インジウム曝露による肺障害は、2007年にわが国から発信された新しい職業性肺疾患である。本研究は、肺への慢性影響を観察するために、2003年から開始したコホート研究の追跡調査を305名に行なった。その結果、胸部HRCTにより2名のがん罹患(肺がん1、腎がん2)を認めた。肺がん罹患者は、その後の精査で腎がんの合併も認めた。もう一人の腎がん罹患者は、これまですべてのIn-Sは定量下限濃度(<0.1μg/L)、かつ腎のインジウム濃度も定量下限濃度(<1ng/g)のため、インジウムと関連しない腎がんと考えた。インジウム曝露とがん罹患との関連は明らかにならなかったが、さらなる追跡調査を行なう必要がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2021年の特殊健康診断実施状況から、インジウム曝露者は国内に10943名いる(労働衛生のしおり 令和3年度)。海外では、2017年、国際がん研究機関(IARC)は、インジウム・スズ酸化化合物(ITO)をGroup 2B(ヒトに発がん性を有する可能性がある)とし、2018年に米国産業衛生専門官会議(ACGIH)は、ITOの作業環境濃度をこれまでの0.1mg/m3から0.1ng/m3とし曝露の低減を提案している。本研究成果は今後の衛生管理対策に有用で社会的意義がある。インジウムおよびインジウム化合物の人における発がん性の確認は、労働者の健康管理に寄与する点に創造性がある。
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