研究課題/領域番号 |
19H03917
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
木林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 外傷性脳損傷 / 剖検 / 心停止 / 実験動物 / DNA損傷 / 増悪因子 / モデル動物 |
研究開始時の研究の概要 |
頭部外傷による外傷性脳損傷は受傷後に増悪し、重症化は予後に影響を及ぼす。外傷性脳損傷が受傷後に増悪する機序を解明するため、ヒト剖検例の解析とモデル動物の解析を行う。1)ヒトの剖検例の後向きの解析研究を行い、頭部外傷による脳損傷の重症度と糖尿病や高血圧などの既往歴との関係を明らかにし、増悪の要因を特定することで外傷性脳損傷の増悪化機序を明らかにする。2)外傷性脳損傷が増悪する糖尿病モデルマウスに脳損傷を作成し、コントロールの非糖尿病マウスと比較することで、脳内DNAが受傷後に持続的に生じていることを証明し、外傷による脳内DNAの持続的損傷が神経機能障害と致死の機序であることを明らかにする。
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研究成果の概要 |
外傷性脳損傷が受傷後に増悪する機序の解明を目的とし、ヒト剖検例の解析では、交通事故による頭部損傷患者では胸腹部や骨盤に併存する損傷に注意が必要であり、歩道等では服薬や転倒歴のある人の転倒防止が必要と考えられた。また、頭部外傷直後に心停止を来した事例の検討では、飲酒酩酊に加え、頭頂部の打撲が受傷直後の心停止の要因であることが判明した。モデルマウスの解析では、外傷性脳損傷の増悪には細胞老化が関係することを示した。また、DN受傷後に大脳の損傷側に免疫組織化学でDNA損傷のマーカーであるH2AXのリン酸化が観察され、脳損傷の増悪機序に受傷後のDNA損傷が関係していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
外傷性脳損傷は受傷後に増悪する場合があり、重症化機序の解明は患者の後遺症低減や救命につながる。ヒト剖検例の解析では、交通事故損傷の特徴を明らかにすると共に、受傷直後の急死例では、飲酒酩酊に加え、頭頂部の打撲が受傷直後の心停止の要因であることが判明し、頭部打撲によって心停止を来た人にはその場に居合わせた人による心肺蘇生が重要と考えられた。外傷性脳損傷のモデルマウスを用いた解析では、外傷性脳損傷の増悪に細胞老化が関係していることが判明し、また、脳損傷の増悪機序に受傷後のDNA損傷が関係していることが示唆され、受傷後の脳内でのDNAの持続的損傷の抑制は脳損傷の低減につながると考えられた。
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