研究課題/領域番号 |
19H03975
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 玉川大学 (2021-2023) 京都大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
武井 智彦 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (50527950)
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研究分担者 |
伊佐 正 京都大学, 医学研究科, 教授 (20212805)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 運動制御 / 遠心性コピー / 化学遺伝学 / 皮質電位記録 / 感覚フィードバック / 運動障害 / 霊長類 / 随意運動 / 機能回復 / 感覚予測 / 予測 / 皮質電位 / 上肢 / 脊髄損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
脊髄損傷による運動機能障害から回復する場合、失われた神経連絡や神経機能の「復元」を目指す一方で、患者自身が「思い通りに動かない身体」を受容し、それに対して適切に行動を適応させていくことが重要である。本研究では、1)ウィルスベクターを用いた新しい神経回路操作技術の確立、2)ロボットアームを用いた詳細な行動解析、3)運動制御理論にもとづくシミュレーションを行うことで、脊髄損傷後に1)どのような神経回路によって(where)、2)どのような運動機能が(what)、3)どのようなメカニズムによって(how)、再獲得されているのかを体系的に明らかにする。
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研究成果の概要 |
霊長類における「遠心性コピー」の経路を記録及び操作する技術を確立し、健常状態および運動障害時の運動制御への貢献を明らかにすることを目的とした。まず、皮質脊髄路から「遠心性コピー」を外側網様核へと伝える神経経路(PN-LRN経路)を抑制性人工受容体によって抑制することを試みたところ、行動学的及び電気生理学的な変化を示す有意な効果は認められなかった。この原因として人工受容体の発現量の不足、行動評価法の精度の低さなどが考えられた。そこでさらに運動指令のもととなる運動関連領野の神経活動を記録してトルク外乱を用いた詳細な行動解析を行ったところ、運動応答に対する準備に係る神経活動を認めることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の脊髄損傷に関する研究では、いかに元々の神経連絡や運動機能を「復元」するかということに主眼が置かれてきた。しかし、現段階の技術では完全な神経再生は難しく、また他の神経経路による機能代償も限定的である。そのため、このような不完全な神経回路のもとでは患者自身が「思い通りに動かない身体」を受容してそれに対して自分の行動を適応させること、すなわち運動機能の「復元」ではなく「再獲得」を目指していくことが重要である。本研究成果は、自分の身体状態の把握と考えられる「遠心性コピー」の神経メカニズムの理解を前進させた。この知見を元にさらなる研究により運動障害の神経機構が明らかになると期待される。
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