研究課題/領域番号 |
19H04160
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宮田 章裕 日本大学, 文理学部, 教授 (20648802)
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研究分担者 |
村山 優子 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (20264955)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | バリアフリー / 障害者 / 人工知能 / バーチャルリアリティ / ゲーミフィケーション / 障がい者 / Deep learning |
研究開始時の研究の概要 |
障がい者の自由な移動を支援する上で,屋内外に存在するバリア情報を提供するバリアフリーマップが重要な役割を果たすが,現在のバリアフリーマップは,広範囲・高密度の情報を提供できず,バリア情報を直感的に提示できない。これらの問題に対し,本研究は (A)バリア情報入力,(B)バリア情報分析,(C)バリア情報出力の観点から解決を目指す。Aでは健常者が歩行やゲームをするだけで加速度データを収集できる方式に取り組む。Bでは人工知能で歩行時加速度データから路上のバリアの存在・種別を高精度に判定する技術に取り組む。Cでは直感的なバリアフリーマップ表現や,バリア通過時の様子を体感できるVRシミュレータに取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,高精度・広範囲のバリア情報を収集するためのA:バリア情報入力,B:バリア情報分析,C:バリア情報出力について,学術的・実用的価値が高い方式を実現することである。AはA-1:ボランティア方式,A-2:歩行者方式,A-3:ゲーミフィケーション方式,BはB-1:Deep Learning方式,CはC-1:ヒートマップ方式,C-2:VR方式に細分化される。令和4年度は5ヶ年計画の4年目にあたる。 令和4年度は,C-1・C-2の完成度を高め,システム全体結合に着手する計画であったが,障害者へのヒアリングに基づき,この計画を微修正した。具体的には,C-1とC-2のそれぞれには個別の強いニーズがあるものの,各方式を使いたいと考えるユーザ層は必ずしも同じではないことが明らかになったため,C-1とC-2の結合作業に大きなリソースを割く計画を見直し,C-1とC-2のそれぞれを最適な形態で洗練させることとした。この判断により,C-1は1箇所に複数件投稿されたバリア情報を集約表示して可視性を高めることができ,C-2は予定していた横断勾配に加えて段差のシミュレーションまでできるようになった。 上記のシステムについて,令和4年度は特定エリアのバリアフリーマップ生成実験を行う予定であったが,COVID-19感染対策により大勢を同一エリアに集めることが困難であったため,5年目に実施予定であった不特定エリアのバリアフリーマップ生成実験を前倒して実施した。この実験により,提案手法が低意欲ユーザに対してバリア情報収集意欲を高める効果があることが確認できた。 上記について,査読付論文誌3件採択,査読付国際会議1件採択,査読無国内会議4件発表,招待講演1件等の学術成果を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要のとおり,令和4年度に計画していた作業の大半は計画通りに実施でき,社会情勢の影響で計画通りに推進できなかった実験についても代わりに令和5年度の実験を前倒しして実施する等の工夫を行い,本研究課題全体が遅滞する事態の回避に努めた。 学術発表については,上記の実験等で得られた知見の学術的価値が評価され,アクセシビリティ分野の有名国際会議International Web for All Conferenceに登壇発表論文として採択された。これは,本研究課題の取り組みが国際的な場においても一定の評価を得つつあることを表している。 さらに,3年前から継続して主催してきた第4回目のバリアフリーワークショップでは,障害学会の元事務局長を基調講演者として招待し,バリアフリー研究の国内コミュニティの活性化に努めた。これにより国内における本研究チームの認知度も向上し,産業界・学術界からバリアフリーマップに関する問い合わせも増えてきている。 上記をふまえ,現在までの進捗状況はおおむね順調であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
国内外の感染状況が落ち着きつつある現状をふまえ,令和4年度に社会情勢により実施できなかった,大勢を同一エリア(大学キャンパスを想定)に集める形態でのバリアフリーマップ生成実験の実施を目指す。これにより,当該エリアのバリア情報を網羅するバリアフリーマップが生成できることが期待され,障害者・施設管理者によるこのマップへの定量的・定性的評価も実施可能となる。 加えて,令和4年度後半から連携を開始したIT企業との議論を深め,本バリアフリーマップの社会実装・産業応用に向けた具体的な方法を検討する予定である。
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