研究課題/領域番号 |
19H04181
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野村 泰伸 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50283734)
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研究分担者 |
佐古田 三郎 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター, 名誉院長 (00178625)
鈴木 康之 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (30631874)
遠藤 卓行 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター, 研究員(移行) (40573225)
MILOSEVIC MATIJA 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50840188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 間欠制御 / ベイズ推論 / 姿勢制御 / パーキンソン病 / 動的疾患 / データ同化 / 近似ベイス計算 / 立位姿勢 / 歩行 / 非線形制御システム / 分岐 / 立位姿勢ゆらぎ / 歩行周期ゆらぎ / 運動制御 / 歩行制御 |
研究開始時の研究の概要 |
動的疾患の概念は様々な疾患の発症に対するシステム論的解釈を提供してきた.本研究では生体ビッグデータ取得や複雑数理モデルの高速計算が可能になった時代背景を受け,運動障害疾患に焦点を絞り,データサイエンス時代に相応しい新しい動的疾患論の構築を目指す.そのために患者と健常者の姿勢・歩行を縦・横断的に計測し,そのデータに我々が提唱する姿勢と歩行の神経制御モデルを同化することで,加齢や疾病,治療による運動機能変化の過程を,同化モデルのパラメータ分布の被験者横断的分布と個別縦断的変化として捉える.そうして得られたモデル族の動態解析により各疾患固有の力学的構造を抽出し,患者個別的定量診断と病態予測に繋げる.
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研究成果の概要 |
我々は若年健常者の静止立位姿勢は,姿勢の状態に応じてフィードバック制御のオン・オフを切り替える間欠制御によって安定化されているという仮説を提唱している.本研究では,ベイズ推論の手法を用いて,間欠制御仮説に基づくヒト静止立位姿勢モデルを,若年健常者,高齢健常者,およびパーキンソン病患者の静止立位姿勢動揺データに同化し,各データを尤も良く再現するモデルパラメータを推定した.その結果,若年健常者の立位姿勢は間欠制御によって安定化されている一方で,立位姿勢や歩行運動に障害が見られるパーキンソン病患者の立位姿勢は,神経制御にオン・オフが無い持続制御によって維持されていることが定量的に示された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々はヒト静止立位姿勢の間欠制御モデルを提唱し,基底核疾患であるパーキンソン病患者の姿勢不安定化は制御から間欠性が欠如することに起因する可能性を示した.数理的に言うと,最も単純な場合の間欠制御モデルは,2つの不安定サブシステム間を確率的にスイッチする確率的ハイブリッド制御系であるが,状態依存的に質的に異なる制御(行動)が選択されることが,柔軟性を保ちつつ立位姿勢が安定化されるために必要不可欠で本質的な性質である.今後,こうした状態依存的行動選択の神経制御メカニズムにアプローチすることで,生体の自動運動と随意運動の制御を統合する新たな研究分野の展開につながることが期待される.
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