研究課題/領域番号 |
19H04183
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
末谷 大道 大分大学, 理工学部, 教授 (40507167)
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研究分担者 |
北城 圭一 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 教授 (70302601)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2019年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | ランダム神経回路網 / 安定カオス / 超過渡カオス / 神経ダイナミクス / 分岐理論 / 数知覚 / リカレントニューラルネットワーク / 視覚的注意 / 内在的機構化 / 再起型神経回路 / ワーキングメモリ / 再帰的神経回路網 / 再帰型神経回路網 / 注意の瞬き |
研究開始時の研究の概要 |
脳は、活発な自発活動を示すと同時に外部からの感覚刺激に対して柔軟で再現性の高い応答を示す。脳がこの両方の特徴をどのように実現し情報処理に利用しているのか明らかにするために、安定カオスという新たな概念を導入する。安定カオスは微小な摂動に対して安定性を持ちながらも、軌道自体は不規則性に振る舞うという両義的な性質を持つ。具体的な情報処理の問題として視覚的な注意における並列的・逐次的同時処理を考え、神経回路網の数理モデリングと同時に脳科学・認知心理学の実験家と連携して、神経系の計算原理としての安定カオスの役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
カオスニューロン写像をランダムに結合させた系について、有限サイズリアプノフ指数などの非線形動力学理論に基づく解析を行なった。その結果、写像の急峻さに関わるパラメタや結合係数を操作することによって、空間的に凍結した周期アトラクタ→弱い(超過渡)カオス→安定カオス→(超過渡)カオスという遷移を示すことがわかった。また、系が安定カオスを示すとき、外部入力に対する再現性がカオスの場合よりも高まることも発見した。また、より単純なtanh 型のニューロンを素子とする持つランダム回路におけるカオスの発生機構について探究し、準周期ルートによるカオスの発生や統計的なスケーリング則をもつことを新たに発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
基礎研究としての本課題の意義は、力学系としての神経系の理解を深めることである。力学系としての神経系の顕著な特徴は、スパイク活動に代表される不連続的な非線形性である。安定カオスは、この様な神経ダイナミクスを理解するための重要な概念となり得る。また、安定カオスの特性を利用することで、非線形の判別能力と長期間情報を保持できる高性能なメモリーデバイスを開発することが可能となる。本研究の進展によって、神経科学の進歩や新たな技術の開拓に寄与することが期待される。
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