研究課題/領域番号 |
19H04249
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山下 洋平 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50432224)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 炭素循環 / 燃焼起源有機物 / 溶存有機物 / 海洋深層 / 生物地球化学 / 海洋 |
研究開始時の研究の概要 |
森林火災や化石燃料の燃焼に伴い不完全燃焼物が生成し、その一部は多環芳香族構造を有する燃焼起源有機物である。これらの燃焼起源有機物の大部分は生物によって容易には分解されない成分であり、炭素を超難分解性有機物という形で固定する事により、長期的な炭素循環を制御し得る。近年、海水中に燃焼起源有機物が存在する事が示されたが、時空間分布に関する情報が極めて乏しく、その起源や除去過程は分かっていない。本研究では、南北太平洋、ベーリング海、インド洋や南大洋の広範な海域における燃焼起源有機物の空間分布を明らかにし、海洋深層における燃焼起源有機物の起源や除去過程を解明する。
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研究成果の概要 |
バイオマスや化石燃料の燃焼に伴い生成する燃焼起源有機物 (PyOM) の大部分は、超難分解性成分であり、長期的な炭素循環を制御しうる。近年、地球表層における最大級の還元型炭素プールである海洋溶存有機物中にもPyOMが存在する事が示されたが、その動態は不明である。本研究では、太平洋全域における溶存PyOM分布を解析し、溶存PyOMは沈降粒子に吸着され除去される事を示し、その全球的な除去フラックスを0.040-0.085 Pg/yrと見積もった。この除去フラックスは、河川と大気から供給される溶存PyOMのフラックスよりも大きく、海洋には溶存PyOMのミッシングソースが存在する事を示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
森林火災などのバイオマス燃焼に伴い大気にCO2が放出され、この放出プロセスは広く認知されている。バイオマス燃焼時には炭や煤などの燃焼起源有機物も生成され、その全球フラックスはCO2放出フラックスの10%程度を占めるが、このプロセスはあまり知られていない。燃焼起源有機物の多くは超難分解性成分であり、地球表層のどこかに蓄積している可能性がある。この蓄積は、CO2を有機物として地球表層炭素循環から隔離することに相当するため、燃焼起源有機物の生成は注目すべきプロセスである。本研究では、未知であった海洋における燃焼起源有機物の動態を明らかにし、その社会的認知の向上に貢献した。
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