研究課題/領域番号 |
19H04267
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 (2021) 京都大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
笹沼 博之 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 副参事研究員 (00531691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | がん / DNA修復 / 相同組換え / DNA二重鎖切断 / BRCA1 / トポイソメラーゼ2型 / UBC13 / DNA損傷 / トポイソメラーゼ / 放射線 / 付加体 / ユビキチン / DNA二重鎖切断修復 / ゲノム編集 / トポイソメラーゼ2 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内にできるDNA切断は、5’リン酸基、3’水酸基がついた「きれい」な傷ではない。DNA切断端周辺に塩基やリボース環損傷を含んだ「汚い」傷である。こうした「汚い」傷は、相同組換えや非相同末端結合のようなDNA修復の前に、「きれいな」傷に直される必要がある。「汚い」傷が「きれいな」傷に直されるメカニズムは分かっていない。本研究では、「汚い」傷を作る放射線と抗がん剤(エトポシド)と「きれいな」傷を作る制限酵素によってできるDNA切断を比較することにより、「汚い」傷が「きれいな」傷に直される経路を明らかにする。この経路に関与する因子の阻害は、放射線治療の増感作用をもたらす可能性がある。
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研究成果の概要 |
DNA二重鎖切断修復は相同組換えと非相同末端結合経路で修復される。切断端に化学修飾や共有結合した蛋白質があると、非相同末端結合経路の再結合や相同組換え時のDNA合成を阻害する。そのため修復の前に、切断端は5’リン酸基と3’水酸基を保持した切断端に変換しておく必要がある。本研究の目的は、切断端周辺の付加体(塩基損傷や切断端に共有結合する蛋白質)を除去し、3末端水酸基と5’末端リン酸基をもつ切断端に変換する分子メカニズムを明らかにすることにあった。本研究によって、切断端周辺の付加体の除去にユビキチンリガーゼUBC13, RAP80, BRCA1が重要な役割を担っていることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗がん治療では、放射線照射によりDNA損傷を与え腫瘍細胞を殺傷する。放射線感受性を高める増感剤は、治療効果を高めるのみならず照射線量を減らすことにつながる。本研究では、放射線によって切断端に発生する塩基損傷や蛋白質付加体の除去機構を明らかにした。本研究で同定したUBC13ユビキチン化酵素依存的な付加体除去の分子機構をもとに、放射線増感剤開発が可能となる。放射線生物学において、「切断端に発生する塩基損傷や蛋白質付加体の除去」の分子機構は長らく不明であったが、本研究によってその分子メカニズムの一端が明らかとなった。
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