研究課題/領域番号 |
19H04269
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中田 慎一郎 大阪大学, 高等共創研究院, 教授 (70548528)
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研究分担者 |
宇井 彩子 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (00469967)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | DNA2本鎖切断 / 相同組換 / DNA損傷 / PARP阻害剤 / DNA修復選択 / DNA修復 / ユビキチン / RNF8 / DNA損傷応答 / ユビキチン化 |
研究開始時の研究の概要 |
E3ユビキチンリガーゼRNF8-RNF168は、放射線により発生するDNA2本鎖切断(DSB)の修復制御の中核である。RNF8-RNF168依存的DNA損傷応答により、DSBには53BP1複合体およびRAP80複合体が局在し、相同組換え修復抑制が起こる。相同組換え開始時にはこの抑制が解除される。この制御機構や経時的変化について未解明事項が多く残されている。 本研究では、ゲノム編集により作成する遺伝子変異体の機能解析や一部のシグナルをバイパスしてDDRを解析することで、未解明事項の解明に挑む。これにより、RNF8-RNF168依存的DDRの真のシグナリング機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
DNA2本鎖切断(DSB)は、放射線被曝などによって引き起こされるDNA損傷である。適切にDNA修復を受けないと致死的な障害となる。ユビキチン依存的な経路は、DSBの検出と修復をつなぐ重要なシグナル伝達経路である。本研究では、本経路で機能する新規遺伝子Xを発見した。遺伝子Xの発現を抑制すると、ユビキチン依存的な経路の下流でDSB修復経路選択に関与する遺伝子53BP1(非相同末端結合誘導因子)がDSB部位に過剰に集積し、一方で、BRCA1(相同組換え誘導因子)の集積は減少した。さらに、相同組換え過程のシグナリングは弱まり、相同組換えの効率も低下することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
DSBは通常の細胞代謝では起こりにくいものの、わずかな残存が致死的となることや、遺伝子変異やゲノム構造異常を誘導する、非常に危険なDNA損傷である。細胞内ではDNA一本鎖切断が多発し、これが複製を経てDSBに変換され、相同組換えにより修復される。相同組換えに関わる遺伝子はゲノムの恒常性維持に必須であり、新規遺伝子の発見の意義は高い。また、遺伝子Xの発現抑制は、抗腫瘍薬として利用されているPARP1阻害剤への感受性を増強するというデータも得られている。本研究の発見は、DNA損傷を利用した抗がん戦略としての発展的な利用が期待できる。
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