研究課題/領域番号 |
19H04276
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 (2020-2021) 東北大学 (2019) |
研究代表者 |
黄 基旭 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00344680)
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研究分担者 |
進藤 佐和子 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (50795987)
外山 喬士 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50720918)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | メチル水銀 / TCF3 / SRXN1 / 転写因子 / アポトーシス |
研究開始時の研究の概要 |
水俣病の発症から半世紀以上が経過した現在も、メチル水銀による脳組織特異的な毒性の発現機構およびそれに対する防御機構はほとんど解明されていない。本申請者らは、メチル水銀をマウスに投与すると脳組織特異的に転写因子TCF3が活性化されること、さらに、このTCF3の発現を抑制した神経細胞が非常に高いメチル水銀感受性を示すことを初めて明らかにした。これらのことは、TCF3がメチル水銀毒性の軽減因子としてマウス脳内で重要な役割を果たしている可能性を強く示唆している。そこで本研究では、メチル水銀によるTCF3の活性化機構、および、TCF3によるメチル水銀毒性軽減機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
我々は、マウスの脳内でメチル水銀によって活性される転写因子としてTCF3を同定していた。本研究では、TCF3がメチル水銀毒性に対する新規防御因子としてミトコンドリア損傷を介したアポトーシス誘導を抑制することを明らかにした。また、メチル水銀によるTCF3活性化にプロテアソームによるTCF3の分解抑制が関与することと、活性化されたTCF3はsulfiredoxin 1をコードするSRXN1遺伝子のプロモーターにリクルートされることでアポトーシス誘導を抑制することを明らかにした。さらに、メチル水銀を投与したマウスの脳内の神経細胞において選択的にTCF3とSRXN1が共に発現誘導されることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体はメチル水銀の脳内侵入を感知するとTCF3活性化を介してSRXN1を発現誘導することでメチル水銀による神経毒性を軽減していることが初めて示唆された。これまで、TCF3/SRXN1経路とメチル水銀毒性との関係について検討された例はなく、本研究成果は未解明のままにされてきたメチル水銀毒性に対する生体防御機構を分子レベルで初めて説明するものである。近年、低濃度のメチル水銀摂取による健康被害が世界的に懸念されていることから、メチル水銀に対して遺伝的に高感受性を示す人々の選定やそれらを考慮したメチル水銀の正確な摂取基準制定などに大きく貢献することが期待される。
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