研究課題
基盤研究(B)
都市樹木は、樹冠による被陰や蒸散による冷却効果、大気汚染物質の捕捉・二酸化炭素吸収などにより都市環境を改善する。樹木活性の維持には光合成と蒸散を調節する気孔開閉特性が鍵となるが、樹種によって大きな差がある。この応答性の変異が生じる生理学的機構を明らかにし、都市樹木の樹冠形成と光合成生産を最適化するために、気孔応答の調節因子の一つである「アクアポリン」について、分子レベルから実際の植栽木レベルまでのスケールの実験的解析を実施する。モデル植物による解析と実際の街路環境との関係性を明らかにするための野外実験を実施して、気孔応答調節の生理学的・遺伝学的メカニズムを解明する。
京都市を中心とした調査により、主要な都市樹木であるヒラドツツジやソメイヨシノでは、窒素酸化物などの大気汚染に対して光合成機能が低下すること、またこの光合成機能の低下には、気孔の応答よりも生化学的な応答が強く関係していることが示された。また、シロイヌナズナのアクアポリンAtTIP2;2変異体で高湿度下での気孔閉鎖の程度が低下したことから、AtTIP2;2の欠損により気孔の閉鎖応答が阻害されていることが示唆された。
葉の炭素安定同位体の値を利用して、都市部に植栽されている街路樹の光合成機能の歴史的な変化を日本において初めて明らかにすることができた。また、日本の都市部における大気汚染レベルの顕著な改善が、街路樹の光合成機能向上につながっている、という、環境政策的にも重要な成果を得ることができた。
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