研究課題/領域番号 |
19H04353
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
後藤 健介 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60423620)
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研究分担者 |
金子 聰 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
黒木 貴一 関西大学, 文学部, 教授 (40325436)
峰松 和夫 長崎大学, 教育学部, 教授 (60622644)
藤田 大輔 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243293)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | スリランカ / 水害 / 水害時感染症 / ハザードマップ / 安全教育 |
研究開始時の研究の概要 |
スリランカの山間部では水害が発生しやすく、水害および水害時感染症の二重被害が問題となっている。山間部は経済的に貧困エリアが多く、水害によって経済的打撃を受けた上に感染症への暴露機会も増加し、負のスパイラルに陥っている。 本研究では、水害が多発するラトナプラ県を対象とし、水害および水害時感染症の実態を把握し、現在作製されていない水害および感染症ハザードマップを作製する。また、地域住民の水害と感染症に関する基礎知識保有率調査を実施し、その結果を基に水害と感染症に関するeラーニング教材を開発する。住民に水害時の安全教育を実施することで、安全教育を通した持続可能な包括的水害対策パッケージを構築する。
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研究実績の概要 |
山間部の水害および水害時感染症の二重被害によって、貧困から抜け出せない「負のスパイラル」問題が発生しているスリランカでは、水害および感染症のハザードマップが作製されておらず、この問題の根本的解決策が見出せていない。本研究では、水害および水害時感染症の実態把握を行い、水害および感染症ハザードマップを作製し、また、地域住民の水害と感染症に関する基礎知識保有率調査を実施することで、水害と感染症に関するeラーニング教材を開発する。水害被害地の住民への水害時の安全教育を通した持続可能な包括的水害対策パッケージを構築することを目的とする。 2021年度における研究予定は、昨年度実施できなかった1)スリランカの水害・感染症の現状把握調査を現地で実施し、そのデータを基に2)衛星データ等を用いた実態把握分析、および3)水害および感染症のハイリスクエリアを抽出することに加え、4)気象と水害の因果関係調査、5)デング熱、レプトスピラ症の実態把握などを行う予定であった。しかしながら、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症による影響により、スリランカへの入国が不可能となり、現地での調査とその結果を用いた解析等を実施することが困難であったため、研究計画を再度見直し、下記内容を実施した。 ①住民における水害および水害時感染症についてのアンケート調査:昨年度から対象地を拡大し、水害エリアの住民に対して、水害および水害時感染症についての意識や知識についての調査を行った。 ②衛星データを用いた現地の環境調査:昨年度に引き続き、衛星データを用いて、水害エリアの地形や自然環境の特性把握解析を行った。 ②水害及び感染症のハザードマップ作成に向けてのGIS解析準備:昨年度に引き続き、現地の公共施設や河川、道路などの空間情報の入手、整理を行った。 ③気象と水害の因果関係調査:気象データ収集・整理を行い、分析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度から続く新型コロナ感染症の世界的感染拡大によって、スリランカへの入国が規制され、現地での調査が困難であったこと、また共同研究者であるラトナプラ保健省関係者が、コロナ対策プロジェクト等の業務で多忙を極めており、オンライン会議等により密に連絡を取り合うことで、現地状況を把握するほか、収集可能な感染症関連データ等の各種データ の収集および整理に努めるなどしたが、現地調査が実施できないことで、当初の予定であった研究実施内容には遅れが生じた。 特に、現地調査による水害および感染症の現状把握調査ができず、本研究における重要な土台となるべくデータが昨年度に引き続き収集できなかったことは、これらのデータを基に分析・作製を進めていく水害および感染症のハザードマップ作製に遅れが生じることは避けられない状況となってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降においては、本研究において重要な土台となるべく現地調査による現状把握分析を着実に進めていき、その成果を基に、下記の調査・分析を継続実施しつつ、新たな分析も開始していく予定である。 ①水害エリアの抽出:水害エリアにおける住民アンケート調査結果について分析を進めるとともに、現地での聞き取り調査、および衛星データ解析によって過去に発生した水害の実態を把握し、水害エリアの抽出を行う。 ②気象と水害の因果関係調査:昨年度に引き続き、水害が発生した際の降雨量について時系列解析(OLS回帰分析、VARモデル)を行い、降雨量および降雨時間と水害発生の関係を調べる。 ③デング熱、レプトスピラ症の実態把握:ラトナプラ保健省およびPHIの協力により感染症患者情報を収集し、デジタル感染分布図を作製する。また、患者数データと水害時の降雨量を用いた時系列解析(OLS回帰分析、VARモデル)により、水害発生と感染症発生の関係の有無などについて調べる。 ④水害および感染症のハイリスクエリアの抽出:①~③の結果を基に、GISによる空間解析によって水害および感染症の発生が、過去において高いエリアを抽出し、そのエリアをハイリスクエリアとする。空間解析では、データが欠損している分を補完しながら感染分布を推定することが出来るカーネル密度推定を用いながら、対象地域内における水害および感染症の分布特性が高い地域を推定するホットスポット分析を用いてハイリスクエリアを抽出し、水害および感染症のハザードマップの基礎資料とする。 ⑤水害および感染症のハザードマップの作製:④の結果を基に、対象地における水害および感染症のハザードマップを作製し、現地保健省等を通して、住民への公開を検討する。
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