研究課題/領域番号 |
19H04368
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
藪長 千乃 東洋大学, 国際学部, 教授 (10364845)
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研究分担者 |
徳丸 宜穂 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00387656)
柴山 由理子 東海大学, 文化社会学部, 講師 (40824868)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 福祉国家 / フィンランド / イノベーション / 新しい価値 / 福祉改革 / デジタル化 / 子ども家庭サービス改革 / 社会保障改革 / 新しい社会政策 / チェンジ・エージェント / 政策イノベーション |
研究開始時の研究の概要 |
産業の変化やグローバリゼーション、人口構造の成熟化など、福祉国家に対する圧力に対して有効な対応策をフィンランドの事例を参考に明らかにしていく。普遍主義型福祉国家は圧力に対して耐性が高いと評価されている。そこで、普遍主義型の特徴を示す北欧諸国の中で、最も財政制約が厳しく福祉縮減の圧力にさらされているフィンランドを調査対象地とし、政策実験や改革事例を収集し、帰納的に整理する。事例を有効性と創造性の視点から評価し、福祉国家の創造的進化として体系化する。
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研究実績の概要 |
本研究は二つの段階で展開する。第一段階は、フィールド調査を通じたフィンランドの福祉国家に関する構造的変化や変質を示すと考えられる事例と比較対象となりうる日本の事例の収集である。第二段階は、収集した事例の革新性と変質の分析・評価及び他国への応用可能性の検討とそれを通じた理論化である。 初年度にあたり、第一段階である事例の収集に取り組んだ。この事例の収集にあたっては、本研究開始の前年度に予備的調査として実施していた聞き取り調査から、デジタル化が大きな環境要因となると考えられたことから、デジタル化に伴う福祉国家サービスの変化を軸の一つとすることとした。また、もう一つの軸は、研究参加者が各自でこれまで収集してきた事例のうち福祉国家の構造的変化と変質を示唆していると考えられるものとした。そして、これらについて、変化とアイデアの源泉となっている組織及び人物への聞き取り調査を行うこととした。 2019年9月及び2020年2月から3月にかけて2回の現地調査を行い、上記の二つの軸に沿って、中央政府、地方政府・団体、シンクタンク、NPO等に対して聞き取りを行った。日本においては、研究・調査計画の策定、収集したデータの整理・分析を目的とした研究会を4回実施したほか、革新性の評価の手がかりを得るための予備的作業として2回の招聘研究会を実施した。このうち2020年1月に実施した国内研究会はフィンランドから研究協力者を招聘し、オープンセミナーとして実施した。さらに、研究協力者の執筆による書籍Degitalisaatio(デジタル化)の翻訳にも取り組んだ。 収集した事例からは、チェンジ・エージェントの登用など新たな経営手法の導入や、地方自治体で革新的な先進事例が生まれていること、先進事例を参照して全国レベルの政策が設計されていること、政府の役割に変化がみられることなどの特徴が浮かび上がってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年次にあたり、研究計画を具体化し、事例収集を順調に進めることができた。また、研究協力者等を招聘して、内部研究会及びオープンセミナーを実施したこと等により、研究者ネットワークを広げることができた。さらに、デジタル化に関する文献の下訳を終えることもできた。 これらを踏まえて、暫定的ではあるものの成果の一部についても発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の世界的な流行により、現地での聞き取り調査や直接対面による意見交換や打ち合わせをすることができなくなった。聞き取り調査の際に得られる新たな手掛かりや実際の現場の状況を見たり全体像を把握することで得られる情報が限定され、代替策を見つけるのは難しい。 現時点では流行の終息の動向等を見守りながら、インターネットを活用したコミュニケーションを取り入れるなど可能な方策を模索している。
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