研究課題/領域番号 |
19H04437
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神保 泰彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20372401)
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研究分担者 |
榛葉 健太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80792655)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2019年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 脳神経 / 細胞・組織 / 神経工学 / 微小電極アレイ / 脳・神経 / 脳神経疾患 / シグナル伝達 / ナノバイオ |
研究開始時の研究の概要 |
生涯に一度はてんかん発作を発症する割合は世界人口の1 %,そのうち1/3が難治性に移行するとされている.現行の抗てんかん薬開発は,発生した発作の抑制を目指しており,最初の発作が発生することを防ぐ視点からの研究はほとんど行われていない.本研究では「興奮性/抑制性の不均衡が生じることがてんかん発作を生じる本質である」という考え方に基づき,興奮性/抑制性バランスを人為的に制御した神経回路をin vitro系に構成し,てんかん発作を生じる臨界条件の解明を目指す.てんかん発作につながる本質的な要素を神経回路,神経細胞,シナプス,受容体それぞれのレベルで明らかにすることを目的とする.
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研究成果の概要 |
てんかん発作の発生における“final common path”と考えられている興奮性/抑制性(Excitatory/Inhibitory; EI)の不均衡に焦点を当て,iPS細胞を神経系に分化誘導する際の操作により興奮性/抑制性細胞の比率を制御した培養神経回路を調整,電極アレイ基板を利用して自発活動を観測した.同期バースト活動の特性がEI比率によって異なり,培養日数の経過と共にその差異が小さくなる方向に変化する,GABAA受容体に対するantagonistであるbicuculline投与による抑制性シナプス結合阻害の効果が時間経過と共に減弱する等,恒常的可塑性の関与を示唆する結果が得られた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
EIバランスと神経回路活動の関係は,興奮性/抑制性シナプス結合の数とその強度によって制御されるが,電気刺激等人工的な手法で誘起されるシナプス活動と本来の感覚入力に対して活性化されるシナプスは異なる,興奮性シナプス,抑制性シナプス,そのサブタイプそれぞれにおいて可塑性のメカニズムが異なるなど関係する要素は多岐にわたる.本研究では恒常性を維持する可塑性の関与を示唆する結果が得られた.今後は,シナプス-ニューロン-神経回路という階層構造各段階における制御機構,その背景となる可塑性の作用を統合した研究の遂行により,てんかん発作を生じるメカニズム解明に向けた知見が得られることが期待できる.
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