研究課題/領域番号 |
19H05457
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文社会系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
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研究分担者 |
松下 正和 神戸大学, 地域連携推進本部, 特命准教授 (70379329)
阿部 浩一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70599498)
天野 真志 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60583317)
日高 真吾 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (40270772)
市澤 哲 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30251862)
後藤 真 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90507138)
佐藤 大介 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50374872)
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
佐々木 和子 神戸大学, 人文学研究科, 学術研究員 (20437437)
今津 勝紀 岡山大学, 文明動態学研究所, 教授 (20269971)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (40200521)
胡 光 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50612644)
三村 昌司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (40525929)
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研究期間 (年度) |
2019-04-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
411,190千円 (直接経費: 316,300千円、間接経費: 94,890千円)
2023年度: 76,570千円 (直接経費: 58,900千円、間接経費: 17,670千円)
2022年度: 80,600千円 (直接経費: 62,000千円、間接経費: 18,600千円)
2021年度: 76,960千円 (直接経費: 59,200千円、間接経費: 17,760千円)
2020年度: 76,440千円 (直接経費: 58,800千円、間接経費: 17,640千円)
2019年度: 100,620千円 (直接経費: 77,400千円、間接経費: 23,220千円)
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キーワード | 地域歴史資料学 / 地域歴史文化 / 地域歴史資料データインフラ |
研究開始時の研究の概要 |
社会構造の大変動による人口減少や大規模災害等により危機に瀕している日本の地域存続の基盤となる、新たな地域歴史文化創成のための実践的研究領域を確立することを目的としている。具体的には、①地域住民を軸とする地域歴史資料と地域歴史文化の未来への継承方法の確立、②地域歴史文化創成に資するデータの国際標準構築と全国的データインフラストラクチャー構築、③大災害が続発する日本列島において、地域歴史文化は災害の記憶を蓄積する文化を内包させてきたことを踏まえ、地域歴史文化創成の基礎となる新たな地域社会形成史の通史的提示を行う。以上により、地域社会において同様な課題を持つ世界各地の研究者間の課題共有をはかる。
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研究実績の概要 |
2021年度は「中山間地での地域歴史文化創成の検討と中間総括」を方針とした。この方針に沿って、11月に地域歴史文化フォーラム愛媛「安政・昭和南海地震の新研究」を開催した。四国四県を対象に、地域における南海地震の記憶・記録の継承の歴史的なあり方について新たな事例が報告され、議論を行った。このフォーラムの成果は報告書を刊行し広く公開した。また、2020年度から延期した地域歴史文化フォーラム福島のフィールドワークを実施し、新たに開館した東日本大震災・原子力災害伝承館やとみおかアーカイブミュージアムや震災遺構等を巡見した。2020年度のフォーラムで共有された、原発事故を含む災害の歴史・記憶を地域の歴史に位置づけるという取り組みを、展示によって地域住民に対して広く公開することに関して関係者と議論を交わすことができた。震災資料に関しては、阪神・淡路大震災の震災報道資料の公開活用および現代史研究にかかる研究を進めた。 地域歴史資料データインフラkhirinCは、昨年度から引き続いて地域歴史資料情報のデジタル化を進めた。特に兵庫県内の自治体編纂にかかわる地域歴史資料のkhirinCへのデータ投入を準備し、データベースを整備した。地域住民による資料データインフラの利用にあたり、歴史資料目録データの作成や公開に関する研究を深めた。 2020年度から引き続き欧州委員会報告書”Innovation in Cultural Heritage Research“(文化遺産研究の革新)の和訳・検討を行ない、著者の一人であるガーボル・ションコイ氏とオンライン研究会を開催し、報告書の内容に関して議論した。各研究領域(A:地域歴史資料継承領域、B:地域歴史資料インフラ構築領域、C:災害文化を内包した地域社会形成史領域)では、それぞれ研究を進め、定期的に研究会を開催して研究成果を発表・共有することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域歴史文化フォーラム愛媛では、災害史を包含した地域社会形成史の多様な事例が報告されたことに加え、災害を伝承する地域歴史資料の保全・活用に関する実践的研究の成果も報告された。深刻な危機となっている南海トラフ地震への対応に深く関わる地域歴史文化の創成に資することができた。地域歴史文化フォーラム福島のフィールドワークは、新型コロナウイルスの影響により昨年度から今年度に延期して実施することができた。 khirinCは資料情報データの充実化を進めるとともに、地域住民が地域歴史資料をより利用しやすくなるようにデータベース整備を行うことができた。また、khirinCにデータ投入するにあたってのデータ準備の方法・注意点等を整理することで、地域住民や自治体が主体となって行うことができる地域歴史資料のデータ化の方法まで検討・議論することができた。 2020年8月から延期して2021年8月開催予定であった第23回国際歴史学会議は再度延期(2022年8月開催予定)となり、今年度も報告が叶わなかったが、2021年度も引き続き国際学会等で研究成果の報告を行った。また、欧州委員会報告書”Innovation in Cultural Heritage Research“(文化遺産研究の革新)に関するオンライン研究会では、著者のガーボル・ションコイ氏と報告書の内容に関して議論したほか書面でも質疑を行い、和訳を改訂することができた。 新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、アドバイザリーボード(海外研究者)の日本招聘は困難となったが、各研究領域が開催する研究会等に国内のアドバイザリーボードの出席を得たため、適宜助言を得ることができた。なお、中間総括のためには第23回国際歴史学会議での報告が不可欠であり、2022年度に地域歴史文化創成の中間的試案を提示する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2020年より延期となっている第23回国際歴史学会議(2022年8月開催予定)において報告し、地域歴史文化創成の中間的試案を提示する。これによって特に海外のアドバイザリーボードからの助言を得、新潟で行う地域歴史文化フォーラムの議論にも活かしていく。2021年度も新型コロナウイルス感染症が十分収束しなかったため、地域歴史文化フォーラム愛媛はオンライン・現地開催のハイブリッド開催となり、現地でのフィールドワークを実施することができなかった。2022年度に改めてフィールドワークを実施する。 2021年度も各研究領域で定期的に研究会を開催し研究成果を蓄積してきたが、各研究領域での新たな知見に加え、国際歴史学会議での報告を経て提示する地域歴史文化創成研究の枠組みを普遍化していくことが必要である。なお、各研究領域による研究会は今後も継続して開催し、研究成果を共有し知見を深めていく。 2020年度から継続して研究している欧州委員会報告書”Innovation in Cultural Heritage Research“(文化遺産研究の革新)に関しては、2021年度に和訳改訂版を作成できたことをふまえ、ガーボル・ションコイ氏とのオンライン研究会の成果も含めて広く公開する。 地域歴史資料データインフラは、今後もデータベース整備やデータ投入を継続し、実際に運用するためのさまざまな工夫について検討する必要がある。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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