研究課題/領域番号 |
19H05468
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 帝京大学 (2020-2023) 大阪大学 (2019) |
研究代表者 |
月田 早智子 帝京大学, 先端総合研究機構, 教授 (00188517)
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研究分担者 |
Danev Radostin 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50415931)
中村 駿 東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト助教 (80882779)
後藤 慎平 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50747219)
近藤 玄 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (40243258)
田村 淳 帝京大学, 医学部, 准教授 (00362525)
田中 啓雄 帝京大学, 医学部, 助教 (70795905)
柏原 宏香 帝京大学, 先端総合研究機構, 助教 (20966692)
足立 誠 京都大学, 医学研究科, 助教 (30335244)
鈴木 貴 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任教授(常勤) (40114516)
矢野 智樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20546121)
入江 克雅 名古屋大学, 細胞生理学研究センター, 助教 (20415087)
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研究期間 (年度) |
2019-04-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
560,300千円 (直接経費: 431,000千円、間接経費: 129,300千円)
2023年度: 100,100千円 (直接経費: 77,000千円、間接経費: 23,100千円)
2022年度: 102,440千円 (直接経費: 78,800千円、間接経費: 23,640千円)
2021年度: 102,180千円 (直接経費: 78,600千円、間接経費: 23,580千円)
2020年度: 99,190千円 (直接経費: 76,300千円、間接経費: 22,890千円)
2019年度: 156,390千円 (直接経費: 120,300千円、間接経費: 36,090千円)
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キーワード | 上皮バリア / タイトジャンクション / クローディン / 上皮細胞 / 細胞骨格 / アピカル膜 / アピカル骨格 / クライオ電顕 / TJストランド / 細胞間バリア / TJ-アピカル複合体 / アピカル細胞骨格 / TJ-ストランド / TJ-MAPs |
研究開始時の研究の概要 |
上皮バリアは、タイトジャンクション(TJ)による上皮細胞間バリアと上皮細胞アピカル膜のアピカル面バリアで形成され、物質移動の制限と選択的透過により生体機能を構築する。本研究ではまず、私共の巧妙な生体内TJの単離精製と次世代クライオ電顕を導入した単粒子構造解析により、細胞間バリアの分子構築を生体内実態に即して解明する。また、上皮バリアが、「TJ-アピカル複合体」により、時々刻々変化する生体機能を構築・制御する機構を解明する。これらの解明による2つのブレークスルーを軸に、生体状況に適応してその特性を変化させる上皮バリアの新しい生体機能統合原理を解明し、上皮バリア学の新展開および操作法の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
上皮バリアは、タイトジャンクション (TJ) による上皮細胞間バリアと上皮細胞アピカル膜のアピカル面バリアで形成され、物質移動の制限と選択的透過を行うことで、生体の内部環境の恒常性を保持・外部からの摂動に対応させ、種々の生体機能を構築する。本研究では、1. TJの分子構築の生体内実態を明らかにし、TJ細胞間バリア操作法開発の基盤とすることを目的とする。また、2.「TJ-アピカル複合体」を分子・細胞・個体レベルで解析し、細胞間バリアがアピカル面バリアと連携した「上皮バリア」による生体機能の構築原理を統合的に解明する。この2つの解析結果を軸に、上皮バリア学の新展開、および、新規操作法の開拓を目指す。 本年度は、1. について、cryo-FIB, クライオ電顕トモグラフィー解析に有用なCldnの発現するEph4培養上皮細胞系の確立を進めた。本細胞系の確立と合わせて、TJの生体内分子構築解明のためのcryo-FIB, クライオ電顕トモグラフィー解析の条件設定を進めた。 また、2.について、階層縦断的な解析を進めた。 (2.1 ) 細胞レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析では、TJMAPs 結合蛋白質について系統的解析を進めた。同時に、TJMAP2ノックダウン(KD)マウス胃炎の組織レベルの解析を進めた。 (2.2) 組織レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析として、気管上皮初代培養(MTEC)において、基底小体(Basal body: BB)とそれに付随するBasal foot (BF) が各々、緑蛍光のGFPと、赤蛍光のmRuby3により2蛍光色でラベルされたtransgenicマウスの系で、「多繊毛上皮細胞が発生、分化する過程で 、どのように繊毛根元の基底小体の方向性と配列が揃い、秩序ある繊毛運動が確立するか」、結果のまとめを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. タイトジャンクション (TJ) -細胞間バリアの生体内での分子構築 については、 そのための材料として、培養上皮細胞における任意のクローディンによるTJ再構築細胞系の確立を進めた。クライオ電子顕微鏡観察のため凍結した細胞でTJを含む薄層のラメラを作製してTJのトモグラフィーを 行うための細胞の培養条件などを確立し、TJの生体内分子構築解明のための最適条件の設定を進めた。また、本細胞系を用いては、細胞生物学的および生理学的解析も進めた。個々のCldnの性質を不明瞭である点を解決し、細胞間バリア、細胞間チャネル機能などについて、各々のCldn種に特異的な特性についての情報を得ることを進め、クローディン分子個々の機能および構造学的な解析を進めている。本成果については、論文作成を行なっている。 2. TJ-アピカル複合体の階層縦断的な解析については、 (2.1) 細胞レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析 TJとアピカル骨格のインタフェースとしての微小管結合蛋白質TJMAPsについて系統的解析を進めた。本成果については、個体レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析も含み、論文として、成果をまとめている。 (2.2) 組織レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析について、気管上皮初代培養(MTEC)において、基底小体(Basal body: BB)とそれに付随するBasal foot (BF) が各々、緑蛍光のGFPと、赤蛍光のmRub y3により2蛍光色でラベルされたtransgenicマウスの系で、高解像度ライブイメージング像を適用した。「多繊毛上皮細胞が発生、分化する過程で、 どのように繊毛根元の基底小体の方向性と配列が揃い、秩序ある繊毛運動が確立するか」についての結果を統計的にまとめ、論文作成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、1. TJの分子構築の生体内実態を明らかにし、TJ細胞間バリア操作法開発の基盤とすること、2.「TJ-アピカル複合体」を分子・細胞・個体レベルで解析し、細胞間バリアがアピカル面バリアと連携した「上皮バリア」による生体機能の構築原理を統合的に解明することを軸に、上皮バリア学の新展開、および、新規操作法の開拓を目指す。 1. タイトジャンクション (TJ) -細胞間バリアの生体内での分子構築について、任意のクローディンを発現するTJ再構築細胞系を用いた、cryo-FIB, クライオ電顕トモグラフィーの解析をさらに進める。氷晶の発生や、TJ領域のラベルの方法の問題など、解決すべき課題が多く存在する。さらに詳細に条件検討を進める。また、TJ再構築細胞系細胞について、細胞生物学的および生理学的解析をさらに進める。論文として成果をまとめる。 2. TJ-アピカル複合体の階層縦断的な解析については、(2.1) 細胞レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析 TJとアピカル骨格のインタフェースとしての微小管結合蛋白質TJMAPs、特に、本年度はTJMAP2について解析が進んでおり、論文として成果をまとめる。(2.2) 組織レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析では、気管上皮初代培養(MTEC)において、基底小体(Basal body: BB)とそれに付随するBasal foot (BF) が、2蛍光色でラベルされたtransgenicマウスの系で、高解像度のライブイメージング像を取得し、「多繊毛上皮細胞が発生分化する過程で、 どのように繊毛根元の基底小体の方向性と配列が揃い、秩序ある繊毛運動が確立するか」について、観察結果のまとめをさらに進め、論文とする。 2.3 個体レベルでのTJ-アピカル複合体の機能解析では、特定臓器の血管に特定のCldnの発現が新たに見出されたため、機能解析を進める。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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