研究課題/領域番号 |
19H05589
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小泉 政利 東北大学, 文学研究科, 教授 (10275597)
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研究分担者 |
安永 大地 金沢大学, 人文学系, 准教授 (00707979)
内藤 真帆 東北大学, 文学研究科, 准教授 (00784505)
木山 幸子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10612509)
大関 洋平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (10821994)
菅野 彰剛 東北大学, 工学研究科, 特任教授 (20578968)
太田 真理 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (20750045)
大塚 祐子 上智大学, 外国語学部, 教授 (30794474)
遊佐 典昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40182670)
酒井 弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50274030)
大滝 宏一 中京大学, 国際学部, 准教授 (50616042)
杉崎 鉱司 関西学院大学, 文学部, 教授 (60362331)
Jeong Hyeonjeong 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60549054)
新国 佳祐 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 准教授 (60770500)
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 人文学研究科, 名誉教授 (70227263)
伊藤 彰則 東北大学, 工学研究科, 教授 (70232428)
金 情浩 京都女子大学, 文学部, 准教授 (70513852)
加藤 万紀子 東北大学, 文学研究科, 助教 (70943447)
那須川 訓也 東北学院大学, 文学部, 教授 (80254811)
里 麻奈美 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (80723965)
矢野 雅貴 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (80794031)
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90510561)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
199,550千円 (直接経費: 153,500千円、間接経費: 46,050千円)
2023年度: 39,780千円 (直接経費: 30,600千円、間接経費: 9,180千円)
2022年度: 39,000千円 (直接経費: 30,000千円、間接経費: 9,000千円)
2021年度: 39,780千円 (直接経費: 30,600千円、間接経費: 9,180千円)
2020年度: 39,390千円 (直接経費: 30,300千円、間接経費: 9,090千円)
2019年度: 41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
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キーワード | オーストロネシア語族 / マヤ語族 / 危機言語 / 視線計測 / 脳機能計測 / コーパス / レキシコン・プロジェクト / マヤ諸語 |
研究開始時の研究の概要 |
主語(S)が目的語(O)に先行するSO語順がその逆のOS語順に比べて処理負荷が低く母語話者に好まれる傾向があることが報告されている。しかし,従来の研究はSO語順を基本語順にもつSO言語を対象にしているため,SO語順選好が個別言語の基本語順を反映したものなのか,あるいは人間のより普遍的な認知特性を反映したものなのかが分からない。この2種類の要因の影響を峻別するためには,OS語順を基本語順に持つOS言語で検証を行う必要がある。そこで,本研究では,SO言語とOS言語を比較対照することによって,人間言語における語順選好を決定する要因ならびに,「言語の語順」と「思考の順序」との関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
主語(S)が目的語(O)に先行するSO語順が、その逆のOS語順に比べて処理負荷が低く、母語話者に好まれる傾向があること(SO語順選好)が多くの研究で報告されている。しかし、従来の文処理研究は日本語や英語のようにSO語順を基本語順にもつSO言語を対象にしているため、SO語順選好が個別言語の基本語順を反映したものなのか、あるいは人間のより普遍的な認知特性を反映したものなのかが分からない。この2種類の要因の影響を峻別するためには、OS語順を基本語順に持つOS言語で検証を行う必要がある。そこで、本研究では、SO言語(日本語、トンガ語など)と消滅が危惧されるOS言語(タロコ語、カクチケル語など)を比較対照することによって、人間言語における語順選好を決定する要因ならびに、「言語の語順」と「思考の順序」との関係を明らかにする。聞き取り調査やコーパス調査、行動実験、視線計測、脳機能計測など多様な研究手法を駆使して、SO言語だけでなくOS言語にも当てはまる、脳内言語処理メカニズムに関するより一般性の高いモデルを構築し、言語と文化の垣根を超えて互いに分かり合える、より暮らしやすい共生社会の実現に向けて貢献する。 今年度もコロナ禍の影響で海外遠征ができなかったため、以下の研究を行った。 (1)談話レベルMEG実験[日本語]:文理解の際の統語構造処理と情報構造処理の神経基盤を調べるために、日本語談話内のかき混ぜ文を対象に脳磁図(MEG)実験を実施した。その結果、統語構造の主効果、情報構造の主効果、両者の交互作用がいずれも有意になった。[論文執筆中] (2)タロコ語の対話コーパスにかかる動画の撮影と書き起こしを実施した。 (3)日本語の代表的なコーパスの一つ「現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)」の一部を読解中の脳活動をfMRIとMEGで計測し、そのデータを当該コーパスに付加する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、少数民族言語の話者の居住地に赴き、現地で調査・実験を行い、その結果を対応する日 本語の研究の結果と比較対照しようとするもので、海外遠征が必要不可欠である。しかし、新型コロ ナウイルス感染症の世界的な蔓延のため、海外への渡航ができていない。そのため、カクチケル語、タロコ語、ならびにトンガ語に関する研究は、当初の予定よりも遅れているといわざるを得ない。 しかし、その代わりに、研究計画を組み替えて、日本でできる研究(日本語の文・談話処理に関する脳波実験、MRI 実験、MEG実験、語彙特性の研究、音韻の研究など)を当初の予定よりも早いペースで進めている。また、海外協力機関の研究者の協力を得て、一部にリモート調査・実験も取り入れて、カクチケル語とタロコ語のコーパス作成とトンガ語の語彙特性の研究も当初の予定を上回るペースで進行している。以上のように、カクチケル語、タロコ語、ならびにトンガ語の研究に関しては一部に遅れが見られるものの、予定よりも早く研究が進み予想を超える成果が出始めている側面もある。
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今後の研究の推進方策 |
感染状況が落ち着いてきており、各国への渡航が可能になってきているので、来年度は、2023年9月にトンガに、2024年2月に台湾に遠征し、それぞれトンガ語とタロコ語の文理解・文産出に関する調査・実験を実施する予定である。 9月のトンガ遠征では以下の実験を計画し、準備を進めている。(1)トンガ語文産出実験、(2)トンガ語理解脳波実験、(3)幼稚園児のwh疑問文の解釈を確かめる言語獲得実験。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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