研究課題/領域番号 |
19H05591
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
河合 香吏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (50293585)
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研究分担者 |
曽我 亨 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (00263062)
足立 薫 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (10802150)
橋弥 和秀 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20324593)
森光 由樹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (20453160)
杉山 祐子 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (30196779)
河合 文 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (30818571)
大村 敬一 放送大学, 教養学部, 教授 (40261250)
竹ノ下 祐二 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40390778)
五十嵐 由里子 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60277473)
中川 尚史 京都大学, 理学研究科, 教授 (70212082)
西井 凉子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20262214)
外川 昌彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70325207)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
169,520千円 (直接経費: 130,400千円、間接経費: 39,120千円)
2023年度: 30,160千円 (直接経費: 23,200千円、間接経費: 6,960千円)
2022年度: 36,660千円 (直接経費: 28,200千円、間接経費: 8,460千円)
2021年度: 35,360千円 (直接経費: 27,200千円、間接経費: 8,160千円)
2020年度: 35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2019年度: 31,850千円 (直接経費: 24,500千円、間接経費: 7,350千円)
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キーワード | 社会性 / 人類進化 / 人類学 / 霊長類学 / 学際的研究 / フィールド科学 / 相互行為 / 方法論 / フィールド調査(現場性) / フィールド調査 |
研究開始時の研究の概要 |
人間を含む霊長類の多くは群居性動物として、さまざまな様態で群れ集い、平和的に、また時には敵対的/競合的に、他者と共に生きている。中でも人間は極めて多くの個体の共存を実現している。人間は、ペアや家族や共住集団といった対面的な共存をするばかりでなく、民族集団や国民、果ては全人類の共存までを「想像」することができる。こうした全地球的規模の多様な共存を根底で支えているのは、人間の社会的なあり方、すなわち高次の「社会性」にほかならない。本研究では「社会性」をめぐり、地域、文化、そして種をも超えて比較研究を展開し、「われわれはどこから来て、何者であり、どこへ向かうのか」という人類学の究極課題を問い直す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は「社会性」を鍵とした新たな人類進化理論の構築にある。そのために人間の諸社会を対象とする人類学と人間と系統的に近縁な野生霊長類の諸社会を対象とする霊長類学という2つのフィールド学問の協働を軸に、比較認知科学等の実験系や古人類学等の自然人類学系、理論生物学等の理論系といった隣接諸学との対話を重視しつつ、学際的な共同研究を推進する。具体的な研究方法は(1)共同研究会、(2)フィールド調査、(3)成果の発信/公開を3本柱とする。(1)本研究の核となる共同研究会であり、フィールドデータに基づく研究報告と熟議により理論的側面を発展・深化させ、またゲスト講師から隣接分野の最先端の知見を得つつ、より学際的な討論を展開する定例研究会、人類学と霊長類学の協働にむけ、対象をみる視点からデータ収集、分析・考察に用いる概念、理論構築に至る研究の全過程において、互いの方法論に対する理解を共有し、両者の比較のための新たな方法論の開拓を目指す方法論研究会、若手の人類学者と霊長類学者が自律的に集結して議論を重ねる若者研究会から成る。2020年度には定例研究会6回(ゲスト講師として中務真人(古霊長類学)、諏訪元(古人類学)、大槻久(理論生物学)を招聘)、方法論研究会1回、若者研究会1回を開催した。 (2)本研究の基盤となる一次データ収集のために不可欠であるが、COVID-19の感染拡大により2020年度は海外調査のすべてが実施を見送った。研究経費を繰越、再繰越し、2021年度と2022年度に海外調査として、中川と森光がガーナでパタスモンキー、竹ノ下と研究協力者の田村がガボンでニシゴリラ、足立が香港と台湾でマカク属、研究協力者の川添がタンザニアでチンパンジーの調査を実施した。 (3)専用のWebサイトで研究活動の詳細を随時発信する一方、2020年度にフィールドサイエンス・コロキアムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度予算による研究活動は、COVID-19の感染拡大により甚大な影響を受け、研究計画調書および交付申請書に記載した研究内容を計画どおりに遂行することができなかった。フィールド調査は海外調査のすべてと国内調査のほとんどが実施を見送った。共同研究会は対面での実施を断念し、ほとんどすべてをオンライン形式とせざるを得なかった。本研究計画の3本柱である(1)共同研究会、(2)フィールド調査、(3)成果の発信/公開の実質的な活動は以下にとどまった。 (1)定例研究会:海外フィールド調査がすべて見送られたため、そのぶんを研究会活動に充て、計画を超える6回を開催したが、ほぼすべてをオンライン形式とせざるを得なかった。個別研究に関する相互理解を進めることはできたが、そこから議論を深め、共通テーマに向けてより広く展開するには、対面形式のように熟議を交わすことができず、充分な討論にはならなかった。方法論研究会は1回開催し、人類学と霊長類学の協働のための方法論の開拓を模索する議論を試みたが、やはり対面形式のようには進められなかった。次世代育成の一環として組織した若者研究会を1回、若手自身の企画、運営により自律的に開催したが、同様に対面形式のようにはいかなかった。2021年3月に合宿形式の開催を予定していた年度末総括研究集会もCOVID-19の拡大のためオンライン開催となり十分な総括、議論はできなかった。 (2)フィールド調査:計画調書および交付申請時に予定が記載されていたすべての海外調査が見送られ、国内調査も屋久島における短期のニホンザル調査を除き、ほとんど実施できなかった。 (3)成果の発信/公開:Webサイトで随時研究活動報告を発信する一方、フィールドサイエンスコロキアム「ヒトを見るようにサルを見る」をオンラインにて開催し、その内容を全文文字おこしして報告書にまとめ、Webサイトに掲載した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究形態は(1)共同研究会、(2)フィールド調査、(3)成果の発信/公開を3本柱としている。COVID-19の感染拡大は終息に向かっており、中断していた海外調査を再開する。他方、2023年度は本計画の最終年度であり、成果のとりまとめと公開を進める必要がある。研究実施計画は以下のとおりである。 (1)共同研究会:定例研究会(1回)、年度末総括研究集会(1回)の他、成果論集の編集会議(2回)を開催する。 (2)フィールド調査:最終年度は補足調査程度を予定していたが、COVID-19により計画が大きく遅れており、一部は通常と同程度期間の調査を実施する。河合(香):霊長類学の調査基地(タンザニア、ガボン)、牧畜民ドドス(ウガンダ)、河合(文):狩猟採集民バテッ(マレーシア)、曽我:牧畜民ガブラ(エチオピア)、杉山:半農半牧民ゴゴ(タンザニア)、焼畑農耕民ベンバ(ザンビア)、竹ノ下:ニシゴリラ(ガボン)、足立:マカク属 (香港・台湾)、中川と森光:パタスモンキー(ガーナ)、また研究協力者の川添達朗がチンパンジー(タンザニア)とニホンザル(金華山)、谷口晴香がニホンザル(下北、屋久島)、田村大也がニシゴリラ(ガボン)、松本卓也がボノボ(コンゴ)の調査を実施する。 (3)成果の発信/公開:最終年度にあたり以下を予定している。公開研究集会:①ニホンザルセミナー(7/1)、②シンポジウム「海外調査地開拓のすすめ」(7/22)、③国際シンポジウム“Primates in Asian Anthropogenic Environments” (11/3)、④若者研究会成果公開シンポジウム(9月)、⑤最終成果公開シンポジウム(3月)。成果論集:以下の3冊の執筆、編集を進めており、京都大学学術出版会から刊行が決まっている。①方法論研究会成果論集、②若者研究会成果論集、③本課題全体の総合成果論集。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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