研究課題/領域番号 |
19H05592
|
研究種目 |
基盤研究(S)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤井 純夫 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 特任教授 (90238527)
|
研究分担者 |
足立 拓朗 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 教授 (90276006)
安倍 雅史 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (50583308)
長谷川 奏 早稲田大学, 総合研究機構, 客員上級研究員(研究院客員教授) (80318831)
本郷 一美 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 准教授 (20303919)
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
岡崎 健治 鳥取大学, 医学部, 助教 (10632937)
赤堀 雅幸 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (20270530)
徳永 里砂 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員准教授 (00458936)
河合 望 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (00460056)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
177,710千円 (直接経費: 136,700千円、間接経費: 41,010千円)
2023年度: 39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
2022年度: 36,530千円 (直接経費: 28,100千円、間接経費: 8,430千円)
2021年度: 37,960千円 (直接経費: 29,200千円、間接経費: 8,760千円)
2020年度: 32,370千円 (直接経費: 24,900千円、間接経費: 7,470千円)
2019年度: 31,200千円 (直接経費: 24,000千円、間接経費: 7,200千円)
|
キーワード | アラビア半島 / 遊牧社会 / 部族制 / 新石器時代 / 青銅器時代 |
研究開始時の研究の概要 |
ヤギ・ヒツジが家畜化された新石器時代の前半(紀元前8000年頃)から、遊牧部族社会が成立したとされる前期青銅器時代(紀元前3000年頃)までの約5千年間を対象に、先史考古学のみならず、動物考古学、形質人類学、生命科学、社会学、文化人類学、岩絵・碑文学などを総動員した包括的な遺跡調査をアラビア半島の各地で実施し、今日もなお中東社会を特徴付けている遊牧部族社会の起源とその史的特質を明らかにする。中東社会の最も内奥に潜む、中東社会ならではの史的特質。それを探り当てたい。
|
研究実績の概要 |
考古班1(ヨルダン、サウジアラビア内陸乾燥域担当)は、ヨルダン南部、タラアト・ウバイダ遺跡の踏査を2022年8-10月に実施し、遊牧部族の形成過程期に発展した羊毛刈り用の大型石器の素材であるフリント採掘遺跡の来季以降の発掘に向けた準備を進めた。サウジアラビア北西部のワディ・グバイ遺跡ならびにサフワーン遺跡等の発掘調査を2022年5-7月と同11-12月に実施し、遊牧部族の形成過程を葬制面から捕捉するための基礎的データを更に追加した。新たにサウジアラビアでの部族社会の成立背景と起源を明らかにするために、先土器新石器時代B期初頭のマシユーン遺跡の調査を2022年12月と2023年3月に実施した。 考古班2(アラビア湾岸域担当)は、2023年1-2月にバーレーン北部のワーディー・アッ=サイル古墳群の発掘調査を実施し、墓の型式学的分析から、部族社会形成期の遊牧民の家族構成についての知見を得た。 考古班3(紅海沿岸域担当)は、2022年8月にサウジアラビア、紅海東岸のハウラー遺跡の遺物整理調査、2023年2-3月に同遺跡の発掘調査を実施し、イスラーム初期の港町跡の構造や物質文化についての詳細な記録を作成した。 その他、2021年12月ならびに2022年2-3月に碑文遺跡の現地調査を実施し、グラフィティとペトログリフの記録を作成した。ヨルダンの遺跡出土動物骨の分析を継続し、遊牧化初期段階における動物利用の基礎データを引き続き整備した。また、2021年度にワディ・グバイ遺跡から出土した人骨を国内に輸送し、部族形成期における遊牧民の形質人類学的基礎データを実見して整理・分析した。同位体分析分野では出土人骨の歯エナメル質の炭素・酸素同位体分析を継続し、基礎データを整備した。社会学・文化人類学分野ではエジプト西部砂漠における「聖性外来の論理」に焦点を当て聖者の末裔部族に関する研究を取りまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により、考古各班では予定していた現地調査の回数をスリム化し、調査日数の延長や調査参加人員を増強して、その欠を補った。分析班については、2019年度ならびに2021年度中に予め搬送していた人骨・動物骨資料の分析に引き続き当たることができたため、当初計画に変更は生じなかった。社会学・文化人類学班は新たな課題を設定し、文献調査に基づく研究を推進した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究を遂行する上で生じた最大の問題は、昨年度に引き続き、コロナ禍による調査の中断・延期である。今後は以下4つの対策を引き続き施す。第一は、感染収束後における現地遺跡調査の件数・日数の拡大・延長である。考古班1-3では遺跡調査回数またはそれに相当する調査日数を拡大し、当初計画に極力追いつく。 第二は、海外研究組織との共同研究または合同調査の推進・強化である。特に、ウィーン大学調査団(オーストリア)と、アラビア半島先史遊牧民の水利技術に関する合同調査を引き続き進める。第三は、オンライン環境下での研究および研究発表の強化による成果発表の促進である。 第四は、調査計画の一部スリム化・重点化である。例えば考古班3は紅海西岸の調査を断念し、東岸のサウジアラビア側だけに限定する、などの措置を引き続き講ずる。
|
評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
|