研究課題/領域番号 |
19H05604
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川畑 貴裕 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80359645)
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研究分担者 |
久保野 茂 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員主管研究員 (20126048)
伊藤 正俊 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (30400435)
松田 洋平 甲南大学, 理工学部, 准教授 (50569043)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 教授 (60319829)
銭廣 十三 京都大学, 理学研究科, 准教授 (70529057)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
172,380千円 (直接経費: 132,600千円、間接経費: 39,780千円)
2023年度: 17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2021年度: 17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2020年度: 52,130千円 (直接経費: 40,100千円、間接経費: 12,030千円)
2019年度: 66,820千円 (直接経費: 51,400千円、間接経費: 15,420千円)
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キーワード | トリプルアルファ反応 / 元素合成 / アクティブ標的 / 波形解析 / 単色中性子源 / 中性子ビーム |
研究開始時の研究の概要 |
4He(アルファ粒子)が2つのアルファ粒子を逐次捕獲して12Cを合成するトリプルアルファ反応は、宇宙における元素合成過程において最も重要な反応のひとつである。しかし、高温あるいは高密度な極端環境下におけるトリプルアルファ反応率には、既知の値に比べ数倍から100倍も増大する可能性が指摘されており、大きな問題となっていた。本申請課題では、 ・逆運動学条件下における12Cからのアルファ非弾性散乱の測定 ・新しいアクティブ標的を用いた12Cからの中性子非弾性散乱の測定 により、極端環境下におけるトリプルアルファ反応率を決定し、宇宙における元素合成過程を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
12Cの0+2状態はトリプルアルファ反応の中間状態として最も重要な状態であり、その電磁崩壊確率はトリプルアルファ反応率に大きな影響を与える。これまで受け入れられていた12Cの0+2電磁崩壊確率を50%も上方修正するデータがKibediらにより2020年に報告され、学界に驚きを持って迎えられた。電磁崩壊確率の測定方法は、崩壊後の12Cを測定する方法と、崩壊時に放出されるガンマ線を直接測定する方法の2つに大別される。過去の測定の多くは崩壊後の12Cを測定している一方で、Kibediらはガンマ線の直接測定を実施している。このため、Kibediらの結果と過去のデータの不一致は測定手法の違いに起因している可能性がある。そこで、我々はルーマニア・Horia Hulubei National Institute for R&D in Physics and Nuclear Engineering (IFIN-HH) のタンデム加速器施設において、Siストリップ検出器と大立体角ガンマ線検出器ROSPHEREを用いて崩壊後の12Cとガンマ線の同時計測を実施した。測定は成功裏に終わり、現在は取得したデータの解析を行っている。 高密度環境下では、12Cの0+2状態が背景粒子と散乱して脱励起する確率がトリプルアルファ反応率に影響する。この散乱による脱励起確率を測定するために開発したMAIKo+アクティブ標的の性能評価試験データを詳細に解析したところ、電離電子の増幅率が足りず、条件によってはトリガー効率が低下してしまうことが明らかになった。そこで、MAIKo+アクティブ標的の検出部に新たにGas Electron Multiplierを追加し増幅率の改善を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高密度環境下でのトリプルアルファ反応率を決定するために、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター (CYRIC) において可変エネルギー単色中性子源の開発を行っていたが、単色中性子生成の技術的なめどは立ったものの、同センターのAVFサイクロトロンのDee電極の冷却水に水漏れが発生したため、物理データの取得を延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
ルーマニアのIFIN-HH研究所において取得した12Cの0+2状態の電磁崩壊確率についてのデータ解析を完了させ、学術論文として公表する。 高密度環境下におけるトリプルアルファ反応率の測定については、東北大学CYRICのAVFサイクロトロンの修理が完了次第、MAIKo+アクテイブ標的を大阪大学から移設し測定を実施する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A-: 研究領域の設定目的に照らして、概ね期待どおりの進展が認められるが、一部に遅れが認められる
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