研究課題/領域番号 |
19H05609
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
玉川 徹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (20333312)
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研究分担者 |
高橋 弘充 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (10536775)
三石 郁之 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90725863)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
184,990千円 (直接経費: 142,300千円、間接経費: 42,690千円)
2023年度: 23,010千円 (直接経費: 17,700千円、間接経費: 5,310千円)
2022年度: 27,560千円 (直接経費: 21,200千円、間接経費: 6,360千円)
2021年度: 36,920千円 (直接経費: 28,400千円、間接経費: 8,520千円)
2020年度: 56,680千円 (直接経費: 43,600千円、間接経費: 13,080千円)
2019年度: 40,820千円 (直接経費: 31,400千円、間接経費: 9,420千円)
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キーワード | 宇宙物理学(実験) / X線・ガンマ線偏光 / 超強磁場 / 中性子星 / 飛翔体観測 / 宇宙物理学 (実験) |
研究開始時の研究の概要 |
世界初の高感度X線・ガンマ線偏光観測を実施することにより、マグネター (磁石星) と呼ばれる中性子星が、本当に100億テスラを超える超強磁場を持つ天体なのかを直接検証する。我々がコアメンバーとして参加するNASAのX線偏光観測衛星IXPEと、日米共同気球実験XL-Caliburの準備、運用、データ解析に関わり、中性子星連星とマグネターの偏光観測をおこなうことで、超強磁場で顕著にみられる真空複屈折等のQED効果を世界で初めて捉える。さらに、宇宙観測と地上実験をつないだ「強い場の物理」分野を創出することを目指す。
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研究実績の概要 |
(1) IXPE 衛星は打ち上げ以来、順調に科学観測を続けており、マグネターを2天体、恒星と連星をなす磁場の強い中性子星を4天体観測した。最初に観測したマグネター 4U 0142+61 のデータ解析が進み、この天体は超強磁場を持つ中性子星と考えて矛盾がないという結果が得られた。一方で、低エネルギー側の偏光度は当初想定していたものよりもはるかに低く (約15%)、マグネター表面には大気が存在していない可能性が高いことがわかった。2天体目のマグネター 1RXS J1708 のデータ解析も進んでおり、こちらも超強磁場を持つ中性子星と考えて矛盾がない結果が得られている。ただし、高エネルギー側で80%を超える偏光度が観測されており、その起源について考察を進めている。 (2) IXPE 衛星に用いた熱シールドの経年劣化調査や追加較正試験に向け、搭載スペア品や小片試料の品質管理や実験データ管理・まとめを進めた。特にピンホール頻度調査方法については、高感度非撮像および広範囲自動撮像法の確立に向けた条件だしを進め、独自の評価システムを構築した。 (3) 日本が提供する XL-Calibur 気球実験用硬X望遠鏡を、気球の打ち上げを行うスウェーデンのEsrange実験場においてゴンドラに搭載した。気球フライトは 7/12-18 に実施し、着陸地点のカナダで無事にゴンドラ全体の回収を行った。気球のバラスト運用の不具合により、天体観測は実施できなかったが、上空40kmにおいて検出器が予想通りの性能を発揮していることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、IXPE衛星はマグネターを2天体観測し、それが超強磁場を持つ中性子星で矛盾がないことを明らかにした。観測結果の一部は当初の想定から外れ、マグネター表面の大気の有無にまで言及できたことは、嬉しい誤算であった。XL-Calibur 気球実験は気球運用のミスから天体観測はできなかったが、大気上層部での検出器の動作は確認でき、次のフライトに向けた性能確認をすることができた。以上より、概ね順調に計画が進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
IXPE衛星は当初の計画通りマグネターの観測を実施しており、論文化を進めている。今後もさらにマグネター2天体以上の観測を目指しており、磁場強度について統計的な議論ができることを目指している。観測天体候補については、IXPE衛星マグネター観測チーム内で議論を進めて決定する。XL-Calibur は引き続き、2022年夏のフライト結果を分析することで不具合を解消し、取得したデータの解析を進めるとともに、次のフライトに向けた準備を行う。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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