研究課題/領域番号 |
19H05613
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分C
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
青木 尊之 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
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研究分担者 |
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
松下 真太郎 東京工業大学, 工学院, 助教 (20883036)
橋本 博公 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30397731)
肖 鋒 東京工業大学, 工学院, 教授 (50280912)
高木 知弘 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (50294260)
白崎 実 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (50302584)
渡辺 勢也 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (80871540)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
194,610千円 (直接経費: 149,700千円、間接経費: 44,910千円)
2023年度: 38,220千円 (直接経費: 29,400千円、間接経費: 8,820千円)
2022年度: 38,220千円 (直接経費: 29,400千円、間接経費: 8,820千円)
2021年度: 42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2020年度: 36,270千円 (直接経費: 27,900千円、間接経費: 8,370千円)
2019年度: 39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
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キーワード | 混相流シミュレーション / 液膜・泡沫 / AMR / 流木・瓦礫 / 液架橋 / あ / 自由界面 / 混相流 / 液膜 / 流木 / 泡沫 / 弱圧縮性流体計算 / 界面活性 / 流木補足 / GPU / LBM / 非ニュートン性流体 |
研究開始時の研究の概要 |
自由界面を含む非圧縮性(低マッハ数)の混相流に対し、弱圧縮性流体計算手法、AMR法や動的負荷分散などの高性能計算技術を導入する革新的な数値シミュレータを開発し、100nm~1kmにわたる3つの実問題 ①多量の瓦礫や流木を含んだ流れの自然災害、②液膜ダイナミクスおよび泡沫の生成・崩壊、③粒子間の液架橋を直接計算する固気液分散系の低水分スラリーに適用する。GPUスパコン等で大規模計算を実行することにより詳細モデルで解きながらマクロな性質を導き出し、大量の瓦礫や流木の補足や構造物への衝撃、液膜や泡沫の生成・崩壊、スラリーの粘弾性特性など、混相流の流体力学における新しい知見を得る。
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研究実績の概要 |
本研究は、① 多量の瓦礫や流木を含んだ流れの斜面災害のシミュレーション、② 液膜のダイナミクスおよび泡沫の生成・崩壊のシミュレーション、③ 粒子間の液架橋を直接計算するスラリーの固気液分散系シミュレーションから構成される。 ① 八戸工大の循環水路での実験に対する検証計算では、模擬流木が捕捉され流路が狭くなり、滝のように流れる様子が再現でき、さらに1本の模擬流木が滝つぼに捕捉されるところまで実験とシミュレーションが一致する結果を得た。岩手県岩泉町乙茂地区の2016年風10号による洪水氾濫に対し、920m×280mの範囲の実地形を元に最細20cm格子を用いる大規模シミュレーションを実施した。1000本と2000本の流木を氾濫領域に流入させ、その捕捉や流れへの影響評価を開始した。 ② 液膜のダイナミクスを解析するための詳細なシミュレーションにおいて、流体力学的には時間とともに液膜内部の流量が減少することにより薄膜化し液膜が表面張力により破断するはずであるが、数値計算が原因のSpurious Current の影響が大きく、これを大幅に低減する計算手法の導入が必要であることが分かった。マルチ・フェーズフィールド法による泡沫形成のシミュレーションでは、攪拌などにより分裂した気泡の数値計算が原因の再合一を阻止する計算手法の開発を進めた。また、熱輸送を考慮する気液二相流シミュレーションに着手した。 ③ 水分を含んだ粉体の流動特性を解析するため、粒子間の液架橋を気液二相流として直接計算するシミュレーションを進めた。容器内の下方に水分を含んだ125個の粒子がパッキングして配置し、加振を模擬した加速度を周期的に与える計算を行った。時間とともに液架橋の範囲が広がることを確認した。また、液架橋が形成されている粒子間において、粒子間距離が近づいた時に作用する潤滑力を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ての項目で当初の計画通り進展している。
①研究計画通り、実災害として岩手県岩泉町乙茂地区の2016年風10号による洪水氾濫のシミュレーションを実施することができた。実地形と実際の建物を設定した多数の流木を含んだ河川氾濫の大規模計算を進めることができ、災害状況との比較を進めている。 ②研究当初は考えていなかったマルチ・フェーズフィールド法を泡沫形成のシミュレーションに導入し、さらに気液界面に適合するAMR計算を進めている。 ③水分を含んだ複数粒子に対し、当初計画の攪拌に代わり加振を模擬した加速度を周期的に加える計算を行い、液架橋分布の時間的な変化を調べている。また、攪拌も予備計算を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
① 当初計画の九州北部防雨災害(平成29年)は情報が少ないため、別の場所の河川氾濫を対象とする。また、広域の河川氾濫のリアルタイム・シミュレーションを2次元浅水波方程式モデルに基づいて構築することを検討する。流木捕捉の防護工については、前倒しで検討する。 ② 当初計画通り、泡沫の生成・崩壊計算、液膜中の流動による液膜薄化と表面張力、界面活性剤効果の関係を明らかにする。 ③ 当初計画通り、大規模計算による水分の少ないスラリーのマクロな流動特性、非ニュートン性を明らかにする。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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