研究課題/領域番号 |
19H05655
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分I
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 冬木 京都大学, 生命科学研究科, 名誉教授 (30184493)
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研究分担者 |
若林 雄一 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 部長 (40303119)
岡本 康司 帝京大学, 先端総合研究機構, 教授 (80342913)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
166,530千円 (直接経費: 128,100千円、間接経費: 38,430千円)
2022年度: 34,320千円 (直接経費: 26,400千円、間接経費: 7,920千円)
2021年度: 39,260千円 (直接経費: 30,200千円、間接経費: 9,060千円)
2020年度: 39,260千円 (直接経費: 30,200千円、間接経費: 9,060千円)
2019年度: 53,690千円 (直接経費: 41,300千円、間接経費: 12,390千円)
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キーワード | ストレス / 獲得耐性 / 転写 / 翻訳 / RACK1 / HIRA / 弱いストレス / 蛋白質恒常性 / がん細胞悪性化 / ストレス反応 / 腫瘍悪性化 / ストレス応答 / 遺伝子発現 / 蛋白質翻訳 / 発がん実験 / 抗腫瘍薬 |
研究開始時の研究の概要 |
分子標的薬は特異性が高く適応例にはきわめて有効な薬剤として高く評価されているが、進行例では薬剤抵抗性が出現し根治は困難である。本研究は、腫瘍細胞は正常組織細胞と異なり、宿主ホメオスターシスの恩恵を受けず、常に変動する微小環境下にあって持続したストレスを受けながらも生存していることに着目し、そのストレス抵抗性を分子レベルで阻害することで腫瘍細胞に特異的かつ治癒をめざした新しい治療戦略を確立することを目的とする。このような新しい戦略にもとづく抗腫瘍薬剤は、ドライバー変異の種類・有無とは関係なく多くのがんに有効で、薬剤耐性が生じる確率も低いものと期待される。
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研究成果の概要 |
腫瘍細胞は非致死的ではあるものの常なる環境変化を経験しつつ、episodicに起こる強い低酸素・低栄養状態や抗がん治療などの致死的なストレスに曝されている。本研究は、がん組織が環境変化による弱いストレスが獲得耐性を介して治療抵抗性などの強いストレスに対する耐性を誘導している可能性を検討するものである。我々は、分裂酵母において獲得耐性誘導に必要な遺伝子として同定したRACK1が、哺乳類細胞において引き続いて負荷した強いストレス負荷後のバルクな翻訳反応の再開を早める効果をもち、このことが獲得耐性誘導に必要であることを明らかにした。今後、このRACK1経路を介した新規がん治療薬の開発が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
医学領域において心臓や脳における先行する軽微な虚血が後続する重篤な虚血による梗塞を軽減させることが長らく知られており(コンディショニング)、虚血性疾患の治療に応用されてきたが、その分子基盤は不明なままであった。本研究は、この生体反応を獲得耐性として理解し、その発現に必要な蛋白質を同定した上で、悪性腫瘍の治療に役立てようとするものであり独創性が高い。これまでのがん治療はがん細胞殺細胞効果を介するものがほとんどであり正常細胞に対する毒性を免れることが難しかった。本研究が完成すれば、がん組織はなぜ宿主や治療による腫瘍抑制作用に抵抗し、患者を死に至らせるのかを理解する重要な視点が得られると期待される。
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評価記号 |
事後評価所見 (区分)
A-: 研究領域の設定目的に照らして、概ね期待どおりの成果があったが、一部に遅れが認められた
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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