研究課題/領域番号 |
19H05657
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分I
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石井 優 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (10324758)
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研究分担者 |
蛯名 耕介 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (70612076)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
199,810千円 (直接経費: 153,700千円、間接経費: 46,110千円)
2023年度: 39,260千円 (直接経費: 30,200千円、間接経費: 9,060千円)
2022年度: 40,300千円 (直接経費: 31,000千円、間接経費: 9,300千円)
2021年度: 40,300千円 (直接経費: 31,000千円、間接経費: 9,300千円)
2020年度: 40,300千円 (直接経費: 31,000千円、間接経費: 9,300千円)
2019年度: 39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
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キーワード | 医療・福祉 / 関節炎 |
研究開始時の研究の概要 |
破骨細胞の定義は「骨を壊す細胞」である。教科書的には、この細胞には「良い働き」と「悪い働き」があり、良い働きとしては、これが古い骨を吸収することで骨芽細胞による骨新生を促し、恒常的なリモデリングが維持されることが挙げられ、一方で関節リウマチなどではこの細胞が働きすぎることで骨が破壊されるという悪い働きがあるとされてきた。しかし、本研究者は両者が顕著に異なることに気がつき、より本質的に異なるものではないかという仮説を立てた。本研究ではこの仮説の下に、「悪玉」破骨細胞のみを特異的に同定し、これを徹底的に抑制する新しい治療法開発を行う。
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研究実績の概要 |
1)炎症性破骨前駆細胞(AtoM)の細胞特性の解析:令和4年度には前年度までに引き続き、関節滑膜に存在するAtoMの細胞特性の詳細な解析を行った。特にAtoMとその前段階の炎症性マクロファージ(血液中および関節滑膜中)のそれぞれの分画について、シングルセルRNAシークエンス解析を行った結果、AtoMに相当する細胞分画も、NFAT依存性の通常の破骨前駆細胞と、FoxM1依存性の真のAtoM細胞に細分化できることが分かった。さらに、FoxM1を発現する「真のAtoM細胞」では、多くが細胞周期としてS/G2期に存在し、増殖能が高いことが示された。さらには、FoxM1の発現がAtoMの増殖に必須であること、AtoM内でのFoxM1発現誘導にはTNFやOsteopontinなどが関与することも明らかにした。また、関節全体の細胞解析から、AtoM誘導に関与する別の種類のマクロファージの存在も示された。現在この新たに得られた細胞集団がヒトRAでの検証についても進めている。 2)AtoMを標的とした新しい治療法の開発:AtoMを標的とした治療法確立のため、AtoMの機能・分化を制御するFoxM1の新規阻害化合物のスクリーニングを引き続き行っている。令和4年度にはin vitroとin vivoのスクリーニング系を用いて、学内拠点との連携を行った。 3)ヒトAtoMの同定と解析:令和4年度には種々の表面マーカーを調べることでヒトAtoMの単離法を確立した。マウスとヒトではマクロファージの表面マーカーに相違があるが、種々の条件検討の結果、CX3CR1+HLA-DR+CD14+CD64+CD86hi分画がヒトAtoM細胞に相当することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炎症性破骨前駆細胞AtoMの同定やその後の解析についても現在継続して進められているから。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究においてAtoMの細胞特性についてはかなり解析が進めることができた。今後はこのAtoMが生じる周囲環境、特に令和4年度に同定したAtoMを誘導しうるマクロファージ分画に注目して研究を進める。さらに、これまでコロナ禍の影響でヒト関節炎組織を用いたAtoM解析を、令和5年度には本格的に推進し、薬剤スクリーニングとも合わせて、難治性関節炎の新規治療法開発につながる成果を挙げる。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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