研究課題/領域番号 |
19H05664
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分J
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 昌宜 京都大学, 情報学研究科, 教授 (80335207)
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研究分担者 |
安部 晋一郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (00727373)
川瀬 頌一郎 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (10817133)
渡辺 幸信 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (30210959)
佐藤 朗 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (40362610)
新倉 潤 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 協力研究員 (50644720)
鎌倉 良成 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (70294022)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
203,190千円 (直接経費: 156,300千円、間接経費: 46,890千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2021年度: 39,390千円 (直接経費: 30,300千円、間接経費: 9,090千円)
2020年度: 66,040千円 (直接経費: 50,800千円、間接経費: 15,240千円)
2019年度: 80,990千円 (直接経費: 62,300千円、間接経費: 18,690千円)
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キーワード | ソフトエラー / ミューオン / 集積システム / VLSI / 信頼性 |
研究開始時の研究の概要 |
地上に降り注ぐ二次宇宙線粒子によって生じる一過性の誤動作 (ソフトエラー)が集積システムの信頼性を決める最大要因となっている。デバイスの微細化により、ミューオンが中性子に変わってソフトエラーの主要因となるパラダイムシフトが起こり、急速にエラー率が増加する可能性がある。本研究では、集積システムの信頼性確保に向けて、ミューオン起因のソフトエラーを正しく理解・評価する技術を世界に先駆けて確立し、将来デバイスの信頼性動向を明らかにする。基礎物理現象の把握と実測結果の再現性検証によりシミュレーション技術の精度を格段に高め、将来の集積システムの信頼性確保に貢献する。
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研究実績の概要 |
課題1-1では、電荷識別型宇宙線ミュオン計測システムを組み立てた。まずは永久磁石を外して、電荷識別・運動量分析をしない宇宙線計測を実施し、測定角度分布をGeant4シミュレーションの結果と比較して、概ね良い一致を得た。宇宙線飛跡構築のアルゴリズムの改良を進め、より現実的な条件下における飛跡推定性能の評価を行った。課題1-2では、パルスミューオン施設におけるミューオンフラックスの絶対量測定とミューオン捕獲反応で生成する放射能の絶対値測定を可能にする手法として、インビーム放射化法の検討をすすめ、有効に働く条件を検討し、J-PARC MUSEで利用可能である見通しを得た。 課題2-1では、12nm, 28nm 評価ボードでエラー測定を行う評価システムを構築した。中性子照射実験を実施し、基本エラーデータを得た。課題2-2では、チップの動作を検証し、エラー測定に利用可能な評価システムの構築を進めた。課題2-3では、ニューラルネットワークの脆弱部分を高速に見つける手法を開発した。 課題3では、PHITSに実装している負ミューオン原子核捕獲反応の励起関数において、Meson Exchange Current(MEC)の寄与を考慮することで、Si標的に対する負ミューオン原子核捕獲反応からの高エネルギー陽子放出の過小評価を改善した。NSFETに放射線入射が与える影響をデバイスシミュレーションにより解析し,ソース・ドレイン下部の絶縁膜の有無が過渡電流波形に与える影響を調べた。さらに,微細FETコンパクトモデルのパラメータを機械学習により抽出する方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した各課題の検討は順調に進んでいる。 課題1-1 は、宇宙線ミューオンの測定に必要な低エネルギーミューオン計測システムの測定と妥当性検証が期待通りに進んでいる。課題1-2 の物理基礎データの取得については、絶対値の精度が十分に取れることを確認した。 課題2-1, 2-2 は、実験に必要なチップの評価が順調に進んでいる。課題2-3 も計算機上での信頼性評価技術開発が順調に進んでいる。 課題3 のシミュレーションでは、既存の負ミューオン原子核捕獲反応モデルと測定で得られた速報版データとの比較検討が進んで、シミュレーションの精度向上が測られている。 課題4 の将来予測では、ナノシートFETのシミュレーションモデルを用いた評価が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
課題1-1は、永久磁石を導入した電荷識別型宇宙線ミュオン計測システムを用いて、低エネルギー正・負ミュオン束のエネルギー・角度分布を建屋内で定点観測する。課題1-2では、J-PARC MUSEで実施予定であるSRAMミューオン照射実験において、インビーム放射化法を用いてミューオンフラックスの絶対量測定とミューオン捕獲反応で生成する放射能の絶対値測定を実施する。 課題2-1では、ミューオンの実験に先駆けて陽子で予備実験を実施する。課題2-2では、ミューオンの照射実験を実施する。課題2-3では、GPUで発生するDUEエラーを事前検出する方式を検討する。 課題3では、Al,Si標的への負ミューオン照射による生成残留核についてPHITS計算を実施する。将来のトランジスタ構造として期待されるコンプリメンタリ型電界効果トランジスタ(CFET)のデバイスシミュレーションモデルを構築する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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