研究課題/領域番号 |
19H05667
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分K
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 俊 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40183892)
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研究分担者 |
横川 太一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 副主任研究員 (00402751)
三木 健 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (00815508)
本多 牧生 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 上席研究員(シニア) (20359160)
鏡味 麻衣子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20449250)
福田 秀樹 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30451892)
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50260518)
緒方 博之 京都大学, 化学研究所, 教授 (70291432)
原田 尚美 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (70344281)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
200,590千円 (直接経費: 154,300千円、間接経費: 46,290千円)
2023年度: 35,750千円 (直接経費: 27,500千円、間接経費: 8,250千円)
2022年度: 37,050千円 (直接経費: 28,500千円、間接経費: 8,550千円)
2021年度: 37,440千円 (直接経費: 28,800千円、間接経費: 8,640千円)
2020年度: 39,000千円 (直接経費: 30,000千円、間接経費: 9,000千円)
2019年度: 51,350千円 (直接経費: 39,500千円、間接経費: 11,850千円)
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キーワード | 凝集体 / 海洋炭素循環 / 微生物群集 / 粒子動態 / 生物炭素ポンプ / 海洋 / 物質循環 / 細菌 / ウィルス / 遺伝子解析 |
研究開始時の研究の概要 |
凝集体(マリンスノー)は、海洋における大規模な炭素鉛直輸送を駆動する重要な媒体であるが、その生成・崩壊プロセスには不明の点が多い。本研究では、凝集体を生息場とする微生物(原核微生物、真核微生物、ウイルス)の群集を「凝集体生命圏」として新たに概念化し、凝集体の生成・発達・崩壊に関わる主要な制御要因として提唱する。凝集体生命圏の複雑な振る舞いに対し、粒子動態、炭素循環、微生物・遺伝子解析、生物情報科学、数理モデリングの専門家の学際的な結集のもとに新たな切り口から理解を深め、これまで見逃されていた凝集体生命圏による炭素鉛直輸送の制御機構を解明する。
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研究実績の概要 |
研究目的である、凝集体生命圏の構造・機能の包括的解明に向けて、観測、実験、モデリングを連結させた研究を、全参画機関の有機的な連携のもとに推進した。2022年度は、前年度までに引き続き、主要な観測プラットフォームであるマリンスノーキャッチャーを用いた観測を計画通りに実施した。観測により採取された試料は、2021年度に引き続き、分担者や協力者による分析に供された。また、培養実験による凝集体生命圏の動態解析を進めた。主な研究成果は以下のとおりである。(1)凝集体生命圏の制御に関わる微生物群集(原核生物、微小藻類、菌類)とウィルスの動態や機能に関する研究成果を国際誌に発表した。(2)沈降粒子にアソシエートした微生物群集構造の特性を、先端的なバイオインフォーマティクス解析手法を用いて解析し、その成果を学会等で公表した。(3)凝集体の構成成分であるコロイド粒子と細菌の相互作用が、細菌細胞表面の粗度によって制御されていることを新たに見出し、その成果を論文として発表した。(4)海水中の粒子の粒経分布と沈降粒子フラックスの関係について解析を行い、その成果を国際誌に公表した。(5)実験的な解析から、菌類による感染が、珪藻類の生物物理的な性状の変化を引き起こし、沈降フラックスに影響を及ぼすことを明らかにした。以上の成果は、凝集体生命圏の構造と機能を理解するうえで極めて重要であり、本研究課題の推進に大きく寄与するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で導入した凝集体捕集装置(マリンスノーキャッチャ―)を用いた船舶観測を実施した。具体的には新青丸KS22-15航海(2022年10月16日-10月27日)において鹿児島沖のピコプランクトン・ナノプランクトンが卓越する亜熱帯海域での観測を実施し、粒子解析、顕微鏡解析、遺伝子解析、有機物解析、代謝活性解析に供する試料を採取した。サンプルは、研究分担者と協力者に分与された。これらの試料の分析は2023年度も継続的に実施する。(2)2021年度に引き続き、海洋地球研究船みらい航海において、時系列セジメントトラップ係留系を用いた得られた データの解析を進め、沈降粒子の季節変動の特性に関する解析を進めた。(3)バイオインフォマティクス解析により、2021年度までに収集された凝集体生命圏の群集構造データの解析を進めた。(4)数理モデリングから、環境変動に対する凝集体生命圏の応答の理論的な解析を進めた。(5)凝集体動態に関わる微生物群集(原核生物、微小藻類、菌類)とウィルスの動態や機能に関する研究成果をとりまと、め、国内外の学会で発表するとともに、11本の原著論文として国際誌に公表した。以上より、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、新青丸による観測を実施し、海洋の物理環境と凝集体動態の関連についての解明に資する現場観測データを取得する予定である。また、2020-2022年度に得られたサンプルの分析(微生物解析、生物地球化学解析、顕微鏡解析、粒子解析)とデータの整理・統合化を進め、凝集体生命圏の季節的、空間的動態に関して成果をまとめる。具体的には、 2022年度までに検討したバイオインフォーマティクスの方法論を適用することで、凝集体生命圏の構造と機能の解析結果をまとめる。また、国際沿岸海洋研究センターの施設などを利用した培養実験の結果の解析を進め、環境変化に対する凝集体生命圏の応答についての成果をまとめる。一方、外洋域への展開として、「みらい」航海で得られた観測データの解析を進める。さらに、これまで検討を進めてきた、凝集体生命圏を構成する微生物群集の動態に関するモデル等を用いて、凝集体生命圏の構造的な特徴、その普遍性、変動についての研究成果の統合化を進める。全体会議は原則として年に1回のペースで実施するが、それ以外に、研究調整のためのオンライン会議は随時実施し、異分野連携を促進する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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