研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、sgRNAライブラリーとCas9ノックイン(KI)マウスを用いた生体内スクリーニング法を確立し、未熟T細胞から成熟T細胞に至る過程で必要とされる全ての遺伝子ならびに正負の選択に必要な遺伝子を網羅的に同定することを目的とする。これらの遺伝子を同定するために、一遺伝子をランダムに欠損したHSCライブラリーを樹立し、マウス胸腺内にてT細胞分化を再構築する。目的の分化段階に達した胸腺T細胞を単離し、ゲノム内に挿入されたsgRNA配列を次世代シークエンサー(NGS)によって読み解くことで、胸腺微小環境にておこるT細胞分化に必要な遺伝子および正負の選択を制御する遺伝子の網羅的同定を目指す。
これまでの成果から胸腺細胞の分化に関与しうる遺伝子群が同定された。本研究を進める過程で、遺伝子Xを胸腺上皮細胞特異的に欠損するマウス(X-cKOマウス)が作成された。X-cKOマウスは、胸腺の低形成や胸腺T細胞分化の障害を示したことから、その原因を究明する必要が生じた。よって、胸腺細胞の分化を支持する間質細胞に軸足をおいた研究も進めた。公共のデータベースおよび既報の遺伝子発現データを独自に解析した結果、遺伝子Xは胸腺上皮細胞の中でも胸腺髄質上皮細胞(mTEC)に高発現することが示された。そこで、X-cKOマウスのmTECを解析した結果、mTECの分化が顕著に障害されていた。mTECを精製し、Bulk-RNA sequence解析を行なったところ、遺伝子Xを欠損するmTECでは、数千の遺伝子が有意に発現低下したが、発現上昇する遺伝子はわずかであった。過去の報告からmTECは自己反応性T細胞の排除に重要であることが示されている。したがって、今後、X-cKOマウスにおける胸腺T細胞のレパトア変化や自己免疫疾患の発症について詳細に検証する必要がある。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件)
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