研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、分子生物学的手法を用いることで、従来の手法では解明することができなかった対象海域に優占する大型動物プランクトン種の生物系統地理を明らかにすることを目的とする。調査海域は北太平洋亜寒帯域から、近年夏季の海氷減少が著しい太平洋側北極海までの高緯度海域として、水平的に広く様々な海域から試料の採集を行う。分子生物学的手法であるハプロタイプ分析を行い、対象海域において優占する主要な大型動物プランクトン種の生物系統地理を明らかにする。
本年度(令和1年度)は大型動物プランクトン群集における優占種のハプロタイプ分析に重点を置いて取り組んた。研究対象海域である太平洋から広く採集したエタノール試料33本のエタノール試料を得た。北海道大学附属練習船おしょろ丸の2018年北極航海で採集した試料及び東京大学白鳳丸のKH13-7、KH14-3航海(西経170度ライン航海)で採集されたエタノール試料から、実体顕顕微鏡下で大型動物プランクトンを分類群毎にソート、種同定を行い計数を行った。この際、太平洋中緯度域にて端脚類の未記載種2種が出現した(未発表)。また試料解析を行うと同時に、2019年6月から7月にかけて、おしょろ丸C073-Leg2航海に参加し、BONGOnetを用いた大型動物プランクトン試料採集を行った。これにより、サンプルのなかったオホーツク海と日本海において大型動物プランクトンのエタノール試料採集を6観測点で行うことができた。研究対象海域に出現する浮遊性端脚類において、過去の知見と照らし合わせながら、mtCO1領域のハプロタイプ分析に必要なプライマーの開発を行い、手法の開発を進めた。西部北極海における動物プランクトン群集について、長年にわたる観測結果をもとにした研究結果をまとめ、「Spatial and inter-annual changes in the zooplankton community structure in the western Arctic Ocean during summers of 2008-2017」というタイトルで、国際学会であるPICES 2019 Annual meetingにおいて口頭発表を行った。上記の内容をまとめた論文を、国際英文誌「Progress in Oceanography」に投稿し、Major Revisionとなったため、改訂し再投稿した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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