研究課題/領域番号 |
19J10335
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
久保 亮輔 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2020年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2019年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ワクフ / 寄進 / 法学書 / マムルーク朝 / オスマン朝 / 社会経済史 / 前近代イスラム史 / マムルーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マムルーク朝期カイロの修道施設を対象に、その経営実態を当時の経済事情や社会情勢に即して分析することで、ワクフ(寄進制度)が果たした社会経済的役割を考察することを目的とする。修道施設は、スーフィーと呼ばれる修行者が修行・生活の拠点とした施設であり、彼らに衣食住と各種手当てを支給したほか、日々の宗教実践で必要とされる物資やサービスをワクフ財源から拠出した。マムルーク朝期にはスーフィズムの大衆化が進み、修道施設はスーフィーのみならず「民衆」も宗教生活を送るなかで日常的に利用する施設となった。修道施設の経営実態をワクフ研究の枠組みから検証する作業を通じて、当時の生活実態へ接近する糸口を探る。
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研究実績の概要 |
本研究の当初の目的は、マムルーク朝期カイロにおける修道施設の経営実態を明らかにすることを通じて、ワクフが果たした社会経済的役割を明らかにすることであった。本研究が修道施設へ着目したのは、ワクフがその建設と運営を支える制度的基盤を提供したことに加え、とくにマムルーク朝期にはスーフィズムが大衆化し、修道施設が人びとの宗教実践の場としてカイロの日常生活に深く根を下ろしたからであった。 しかしながら、研究遂行には様ざま無困難が伴い、数回の研究計画の変更を余儀なくされた。第1に、エジプトの政治情勢の緊張により当初利用予定であったワクフ関連文書へのアクセスが制限されたため、カイロでの調査・研究の計画を断念し、研究の拠点をトルコに移し、マムルーク朝・オスマン朝期の史料が所蔵されるイスタンブルのスレイマニエ図書館にて史料調査を実施した。その結果、そこで入手した「ファトワー集」や「リサーラ」などの法学書がワクフ研究にも応用可能であることに気づき、当初の想定とは異なるアプローチでワクフをめぐる問題を検討することができた。とりわけ重要なのは、法学書の分析を通じて、日常生活とのかかわりにおいてワクフ経営をめぐる問題を検討することができた点であり、この視角は従来の研究に欠如していた。この研究計画の見直しにより、法学書を用いたワクフ研究の着想を得ることができたのは大きな成果であった。研究計画の変更を余儀なくされた第2の要因は、言うまでもなく、新型感染症の世界規模の拡大であった。これにより、海外はもちろんのこと、国内においても従来のように自由な調査ができなくなったため、2年目以降は研究成果の公表に注力した。 2020年度および2021年度は、あわせて査読付き邦語論文3篇(うち1篇は共著)、査読無し英語論文1篇、書評1篇、その他解説記事3篇を公表することができた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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