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繁殖様式が多様なカジカ科魚類における精子進化の解明:マクロおよびミクロの視点から

研究課題

研究課題/領域番号 19J11278
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
審査区分 小区分45020:進化生物学関連
研究機関大阪市立大学

研究代表者

伊藤 岳  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
研究課題ステータス 完了 (2020年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2020年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2019年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
キーワード受精様式 / 体内受精 / 体外受精 / 精子競争 / 進化生態学 / 海産カジカ科魚類 / 交尾 / 系統種間比較 / 精子 / カジカ科魚類 / 交尾行動 / 進化
研究開始時の研究の概要

一般的な魚は交尾を行わず体外受精であるが、海産カジカ魚類の中には、体外受精の他に、哺乳類のように交尾を行う種が複数混在している。さらに、精子競争レベル(異なるオスの精子同士が受精を巡って競い合うこと)が異なる種が生息している。交尾の進化によって、精子の運動環境は体外から体内へと変化したため、精子は体内環境へと適応したと考えられる。また、海産カジカは日本のみならず、アメリカにも生息する。そこで、日本とアメリカの交尾を行う種と行わない種の精子の形態や運動性、電子顕微鏡を用いた精子の微細構造、タンパク質を比較することで、交尾行動や精子競争レベルの違いが精子にどのように影響を及ぼすのかを解明する。

研究実績の概要

本研究で用いた海産カジカ科魚類は、近縁種に一般的な魚類のように体外受精をおこなう種と、哺乳類のように体内受精を行う種が混在する種群である。さらに、異なるオス同士の精子が受精を巡って競い合う精子競争の度合いも種によって様々である。興味深いことに、日本沿岸と北米沿岸の異なる地域で、これらの繁殖様式が進化したようである。本研究は受精様式の進化や精子競争の激化により精子がどのように進化したのかを、精子の運動性、形態、微細構造、タンパク質の観点から、系統関係に照らしあわせて明らかにすることを目的とした。また2019-2020年にかけて、若手研究者海外挑戦プログラム及びサンフランシスコ州立大学の協力の下アメリカに1年間滞在し、系統種間比較に用いる種を採集した。
国内外で採集した47種の海産カジカ科魚類の精子を調べた結果、過去の報告とは異なり、受精様式の違いは、精子の長さに影響を与えず精子の頭部形態の伸長に関与していた。さらに精子競争レベルの違いは、精子の全長および遊泳速度の増加に関わることがわかった。分子系統樹を用いた系統種間比較の結果、これらの形質は、異なる系統で独立に複数回平行進化し、微細構造や分子基盤にも影響を与えたことが明らかになった。この結果は、海産カジカ科魚類のみならず、他の体内受精を有する魚類でも一般性を持つことが明らかとなった。一方、淡水産のバイカルカジカ類の精子の比較では、体内受精の進化により精子の頭部形態が小さく、寿命が長くなることを明らかにし、メスの体内環境への適応が一義的でない可能性を示唆した。
本研究により、精子は様々な系統で、適応的に進化したことを示した。これは、体内受精である我々哺乳類の精子の進化がどのようなプロセスを経て来たかを明らかにする鍵となる。そのため、分子基盤の視点を持ち合わせた本研究は、生態学のみならず、将来的に医学分野への応用が期待できる。

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

報告書

(2件)
  • 2020 実績報告書
  • 2019 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2019 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] San Francisco State University(米国)

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
  • [国際共同研究] Russian Academy of Sciences(ロシア連邦)

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
  • [国際共同研究] San Francisco State University/Fish lab./Karen D. Crow(米国)

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [雑誌論文] Fertilization modes drive the evolution of sperm traits in Baikal sculpins2021

    • 著者名/発表者名
      Ito T.、Kinoshita I.、Tahara D.、Goto A.、Tojima S.、Sideleva V. G.、Kupchinsky A. B.、Awata S.
    • 雑誌名

      Journal of Zoology

      巻: - 号: 1 ページ: 20-30

    • DOI

      10.1111/jzo.12867

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 受精様式の違いは精子の形質を進化させる:バイカル湖固有のカジカ科魚類を用いて2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤岳, 木下 泉, 田原 大輔, 後藤 晃, 東島 昌太郎, Valentina G. SIDELEVA, Alexandr B KUPCHINSKY, 安房田 智司
    • 学会等名
      第68回日本生態学会大会
    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
  • [学会発表] 魚類の交尾に伴う精子の進化:近縁種間比較研究から見えてきたこと2019

    • 著者名/発表者名
      安房田智司・伊藤岳
    • 学会等名
      日本動物学会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [学会発表] 古代湖の固有魚類における受精様式・婚姻形態と精子の進化:特にバイカルカジカ類に注目して2019

    • 著者名/発表者名
      安房田智司・伊藤岳
    • 学会等名
      2019年度日本魚類学会公開シンポジウム
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [学会発表] 精子はなぜこれほどまでに多様なのか?交尾行動や精子競争が駆動する魚類精子の進化2019

    • 著者名/発表者名
      安房田智司・伊藤岳
    • 学会等名
      日本動物行動学会
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [備考] 動物機能生態学研究室

    • URL

      http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/asoci/

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書 2019 実績報告書

URL: 

公開日: 2019-05-29   更新日: 2024-03-26  

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