研究開始時の研究の概要 |
水などの多くの流体運動は, 偏微分方程式である非圧縮Navier-Stokes 方程式により記述されることが知られている. このNavier-Stokes 方程式により記述される3次元流体乱流におけるエネルギーなどのマクロ量の挙動を明確に記述することは困難であることが知られている. そこで, 近年様々な分野で利用されている機械学習に着目し, マクロ変数だけを用いて時間発展を記述するようなモデルを作成することを試みる.
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研究実績の概要 |
水や空気などの多くの流体運動は, 偏微分方程式であるNavier‐Stokes 方程式により記述されることが知られている. 3次元流体運動においてエネルギーなどのマクロ量のみで閉じた時間発展方程式をNavier‐Stokes 方程式から解析的に得ることが困難であることが知られている. そこで, 近年様々な分野で利用されている機械学習に着目し, マクロ変数であるエネルギー変数だけで閉じるような時間発展モデルを作成した. 乱れた流体運動は, 静穏なラミナー状態と激しく複雑化したバースト状態を時間, 空間間欠的に行き来することが知られている. 一方で, ラミナー状態の時系列データの予測はすでに成功している. そこで, 本研究ではバースト状態も含めて再現できるモデルの構成を行った. リャプノフ指数,不安定次元などが大きいバースト状態を含めた流体変数の機械学習によるモデルの構成をするためには時間遅れ座標系などの導入により効率よく学習をする必要がある. そこでまずは時間遅れ座標の遅れ時間と座標系の次元の最適なとり方について調べた. その結果, 遅れ時間については自己相関係数との関係をみつけ, 次元については相関係数の包絡線との関係をみつけた. 最も効率の良い時間遅れ座標系を導入した上で学習して得たモデルが時系列データのよい予測をすることを確認した. また, 密度分布やポワンカレ断面といった統計量についても予測したものと実際との比較を行った. さらに, 速度場が穏やかな流れから複雑な流れに時間間欠的に遷移する様子も再現可能であることも確認した. 現実の現象では見たい現象の力学系の次元に比べて観測できる変数の個数が少ない場合が多いが, この結果はそのような場合にも機械学習が有効であることを指し示すものであり, 今後の発展が期待される.
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