研究課題
特別研究員奨励費
従来の認知症早期発見は、自覚症状や家族の気付きの後に認知機能検査を受けることで行われているが、早期発見の遅れや負担の大きさが課題となっている。そこで本研究では記憶から言葉を選出し発するという人間の特性から、高齢者を対象に、認知機能低下と関連する自然言語情報の特徴を明らかにすることを目的とする。加え、1年後に認知機能低下を予測する自然言語情報の特徴を明らかにし、その他の認知機能低下の関連要因・1年後の認知機能低下を予測する要因も検討する。これらを達成し、認知機能検査不要の会話による認知機能低下早期発見法を確立することにより、市町村の健診や介護予防事業で取り入れる等、医療現場での活用の一助とする。
従来の認知症早期発見は、自覚症状や家族の気付きの後に認知機能検査を受けることで行われているが、早期発見の遅れや負担の大きさが課題となっている。本研究は記憶から言葉を選出し発するという人間の特性に着目し、記憶の障害である認知機能低下を言語で捉えることを検討する。そのため、認知機能正常群の高齢者と比較し、低認知機能群における高齢者の自然言語パターンの特徴を機械学習による自然言語処理を用いて捉える。また、低認知機能高齢者の特徴をよりよくとらえるため、社会的な環境要因や身体状態・精神状態の項目も検討する。本年度は地域在住高齢者を対象に電話にて追跡調査を実施し、76名の対象者を追跡した。コロナウイルス感染拡大のため、病院の通院患者に対する追跡調査は実施不可能であった。本年度の追跡調査で得た情報をデータ化し縦断解析を実施したところ、1年後に認知機能低下がみられた者は9名(11.8%)であり、低下の平均点数は1.44(SD 0.73)点であった。この群の1年前の平均の認知機能得点は33.22(SD 2.77)点であり、低下がみられない群と比較して有意に低い結果となった。以上のことより、認知機能低下(TICS)のカットオフ値である32点以下に近い値の集団は1年後認知機能を維持できない可能性を示唆した。先行研究では、発話の遅延や思考力低下は脳血管性認知症患者の特徴であると報告されているが、標本が少ないことが大きく影響した可能性があるため、より正確な検討が必要である。今回の標本の少なさに対する解決策として、自然言語処理の機械学習はベイズの確率推定の概念を考慮するなど、欠損値を推測して予測計算することが可能である。また、より深い考察のためには出現単語の類似単語ごとへの分類や教師データを作成した分析等検討する必要がある。今後これら課題を解決しき、論文執筆に向け準備を進めていく。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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