研究実績の概要 |
本年度は、これまでの研究成果に関しての論文投稿及び、実験系の確立を行なった。まず、マーモセットES細胞における高効率遺伝子改変による生殖細胞特異的レポーターの導入に関しての論文発表を行なった(Yoshimatsu and Sone et al., PLOS One 2019; Yoshimatsu et al., Stem Cell Res 2020)ほか、マーモセットからのTransgene非依存性iPS細胞の作出に関しても論文投稿を行なった(Nakajima and Yoshimatsu et al., BBRC 2019; Yoshimatsu et al., submitted)。
以上のように作製した生殖細胞特異的レポーター導入ES/iPS細胞を用いて、始原生殖細胞(PGC)において特異的に発現する転写因子を薬剤誘導性に強制発現させることによって、分化10日目にFACSによってレポーター及びマーカー陽性細胞を分取することに成功した。これらの細胞はヒトやマウスで報告されているPGC特異的な遺伝子発現パターンを示すことから、本課題における第1の目標(PGC誘導系の構築)は達成された(Yoshimatsu et al., submitted)。
今後は、分化誘導した細胞のMethylome解析を行うほか、本研究で得られたマーモセットPGC様細胞のTranscriptomeデータから他種(ヒト、マカクザル、マウス)PGCとの種差に関しての考察を行う予定である。さらに、最終的な機能的配偶子の誘導に向けた条件検討を引き続き進めていく。具体的には、PGC様細胞からの精子幹細胞(SSC)の誘導、および卵巣構造の再構築に向けた実験系の確立を目指す。
|