研究課題
特別研究員奨励費
ケニアを含む東アフリカの高原地帯の稲作では、気温の年次変動が激しく、深刻な冷温となる年には耐冷性系統でさえも冷害により収量が激減する。本研究では、特に低温に弱い出穂期に焦点を当て、水管理技術により出穂時期を遅らせることで冷害を回避する栽培技術および材料の開発を目指す。その際、水管理により生じる乾燥ストレスに耐性を示す変異体の原因遺伝子を合わせて利用することで、水管理条件下での収量維持も試みる。そのため、ケニアの複数の異なる水環境栽培下で出穂遅延に最適な水環境条件および系統を探索し、水環境と出穂遅延・収量維持能力の関連性およびその作用機作を解明する。
ケニアを含む東アフリカの高原地帯の稲作では、気温の年次変動が激しく、深刻な冷温となる年には耐冷性系統でさえも冷害により収量が激減する。本研究では、特に低温に弱い出穂期に焦点を当て、水管理技術により出穂時期を遅らせることで冷害を回避する栽培技術および材料の開発を目指す。その際、水管理により生じる乾燥ストレスに耐性を示す変異体の原因遺伝子を合わせて利用することで、水管理条件下での収量維持も試みる。そのため、本研究ではTC01変異体由来の出穂遅延能力とKM07変異体由来の地上部乾物生産の維持能力をそれぞれ導入したアフリカの有望品種および湛水状態と乾燥状態を繰り返す間断灌漑法を活用し、これらの冷害回避における有用性および作用機作を明らかにすることを目的とする。当該年度は、上記材料および栽培環境の有用性評価を日本およびケニア(ケニア農畜産業研究機関ムエア支所・キロゴ圃場)の間断灌漑圃場にて完了した。加えて、出穂遅延の新規材料をスクリーニングにより見出したことで、TC01とKM07に加え、冷害回避技術に有用な新たな遺伝資源となることが期待される。また、間断灌漑により出穂が早まる要因が明らかになり、今後は出穂が遅れる要因を明らかにすることにより、間断灌漑によるストレスと出穂期との関係性の解明につながると期待される。また、KM07の優れた根系発達の地上部生育や収量への影響をポット試験で評価したことで、フィールド試験では取得困難な個体あたりの水利用量など有用情報を得ることができ、KM07特有の細い側根の発達が高い水吸収能力の維持に寄与することが推測された。間断灌漑下でのKM07による穂重の維持はこれまでの結果と一致しており、加えてKM07の収量維持に貢献した要素が穂数と籾数であることが明らかとなった。これらの結果から、間断灌漑下における冷害回避技術の確立が進み、実証が期待される。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Science
巻: 306 ページ: 110861-110861
10.1016/j.plantsci.2021.110861
120007170451
Physiologia Plantarum
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10.1111/ppl.13063