研究課題
特別研究員奨励費
地球磁気圏のリングカレントを担う高エネルギー酸素イオンの加減速メカニズムは広く調べられてきたが、ULF波動がリングカレント帯酸素イオンに与える影響に関する観測研究は極めて少ない。そこで本研究では、高エネルギー酸素イオンとULF波動の相互作用であるドリフトバウンス共鳴について、人工衛星データを用いた観測研究を行う。複数の磁気圏探査衛星データを用いて酸素イオンのドリフトバウンス共鳴を調べ、ULF波動と酸素イオン間でどのようなエネルギー輸送がなされるか調査する。
地球磁気圏におけるリングカレント帯の高エネルギーイオンは、波動粒子相互作用によって加速・減速されると考えられている。このような高エネルギーイオンの加減速過程は内部磁気圏のダイナミクスを理解する上で非常に重要である。本研究では、地球磁気圏で起きている地磁気脈動のうちPc5として分類される波動と高エネルギー酸素イオンのドリフトバウンス共鳴現象を調べ、共鳴によるPc5脈動と高エネルギー酸素イオン間のエネルギー輸送に関する性質を明らかにすることが目的である。本年度は昨年度に引き続き、地球磁気圏で起きるPc5地磁気脈動と酸素イオンのドリフトバウンス共鳴による波動-粒子間のエネルギー輸送の性質を明らかにするために解析を行った。4機で編隊飛行を行うMMS衛星がPc5地磁気脈動と酸素イオンのドリフトバウンス共鳴現象を観測した。そして、このイベントにおいてドリフトバウンス共鳴により酸素イオンのエネルギー密度が増大していることが確認された。このことから磁気圏全体におけるドリフトバウンス共鳴による酸素イオンのエネルギー増大量を定量的に推定することを試みた。そして、リングカレント全体のエネルギー増加量と比較することで、ドリフトバウンス共鳴がリングカレントのエネルギー増加にどの程度寄与するか議論することができた。これらの結果は地磁気脈動がリングカレントの発達・減衰に及ぼす影響を定量的に推定するという意味で重要な結果であると考えている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
J. Geophys. Res.
巻: 125 号: 2 ページ: 1-14
10.1029/2019ja027686
巻: 124 号: 11 ページ: 1-20
10.1029/2019ja027312
巻: 124 号: 12 ページ: 1-20
10.1029/2019ja027158