研究課題
特別研究員奨励費
本研究は,画期的なレアアース資源として注目を集める深海堆積物「レアアース泥」の分布を解明するために,レアアース泥が「いつ,どこで,どのように」形成されたのかを明らかにすることを目的とする.そのためにまず,太平洋の広域から採取された深海堆積物試料について,化学組成分析と高精度な堆積年代決定を行う.これによって過去に高品位なレアアース泥が堆積した海域を復元するとともに,当時の地球・海洋環境と照らし合わせることで,レアアース泥の成因を解明する.さらに,得られた情報を統合し,現在の太平洋において高品位のレアアース泥が海底面付近に存在すると考えられる海域を明らかにする.
本研究は,新規レアアース資源として注目される深海堆積物「レアアース泥」が,「いつ・どこで・なぜ」生成したのかを解明するとともに,重点的に探査すべき海域を明らかにすることを目的とする.今年度はまず,研究対象10サイトのうち,堆積年代情報が存在しない5サイトについて,魚類の歯の微化石「イクチオリス」の層序に基づいて堆積年代を制約した.さらに,イクチオリスによる年代情報と,全岩コバルト濃度から推定される堆積速度の情報を組み合わせ,モンテカルロシミュレーションを用いて堆積年代および堆積速度の範囲を絞り込む手法を開発した.次に,上記手法を研究対象全てのサイトに適用して得られた堆積年代および堆積速度の情報を,全岩化学組成の情報と組み合わせ,太平洋の各海域において,どのような成分が各時代にどの程度供給されていたかを定量的に評価した.その結果,(1) 全サイトで共通した傾向として,生物源リン酸カルシウム(BCP)の供給フラックスが新生代(6,600万年前から現在まで)を通じて緩やかな減少傾向にあること,(2) 大陸起源成分の供給フラックスは新生代の中新世(約2,000万年前)以降で急激に増加したこと,の2つが明らかになった.さらに,(3) 上記の時代規制の傾向とは別に,BCPの供給フラックスが短期間で急激に高まるという現象が,北太平洋の一定の海域で生じていたことも明らかにした.最後に,上記の結果とBCPがレアアース泥におけるレアアースの主要なホスト鉱物であり,大陸起源成分はレアアースを希釈する主要な成分であることを踏まえて,現在の海底においてレアアースの濃集層が海底面下浅部に存在している海域を推定し,今後重点的に探査を行うべき海域を示した.この成果は,レアアース泥開発実現に向けた大きな進展であるとともに,今後様々な地球科学的研究にも応用可能である.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Minerals
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https://note.com/mim_2020