研究課題/領域番号 |
19J15265
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小田 裕太朗 富山大学, 大学院医学薬学教育部, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2019年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 人工核酸 / 非天然核酸 / 核酸医薬 / 核酸アプタマー / SELEX / ポリメラーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ポリメラーゼ連鎖反応による核酸増幅に適用できる人工核酸ユニットを開発し、それらを用いることで核酸アプタマーの結合力を向上させることを目標とする。 核酸アプタマーは、4種類の天然ヌクレオチドのみから構成させるため、標的との相互作用様式が画一的であるという課題がある。そこで、核酸アプタマーの探索手法である SELEX 法に適用できる人工核酸ユニットを開発し、これらを新たな構成要素としてアプタマーの配列に導入することで、多様な相互作用様式を獲得させる。最終的には、人工核酸ユニットを用いた核酸アプタマーの探索手法の確立へと展開し、核酸医薬分野に貢献する。
|
研究実績の概要 |
アプタマーの相互作用様式の多様化を目指し、その探索手法である SELEX 法に適用できる核酸ユニットの開発に取り組んだ。この手法は PCR での核酸増幅を要するため、適用する核酸ユニットはポリメラーゼによって対応して複製される必要がある。本研究室で開発してきたアルキニルヌクレオチドは、核酸塩基間の対応付けを担う塩基対形成部位が天然ヌクレオチドとは空間的に異なるため、天然とは独立した人工どうしの塩基対を形成できる。この骨格的な特徴から、ポリメラーゼによる核酸複製においても、人工ヌクレオチドどうしは相補的に機能し、かつ水素結合部位の合致しない天然ヌクレオチドとは直交的に振舞うことで、両者が共存したSELEX 法を確立できると計画した。まず、ポリメラーゼによる核酸複製機構において、人工ヌクレオチドがそれぞれの持つ人工核酸塩基の水素結合パターンを反映した相補性を示すかを確認することとした。テンプレート鎖の鋳型となる部位に人工ヌクレオチドを配置し、各種人工ヌクレオチド三リン酸を基質として用いた一塩基伸長反応を評価した。その結果、水素結合パターンの相補性を反映した選択性を示す一対の人工ヌクレオチドのペアを見出した。 この人工ヌクレオチドのペアに対して、天然核酸塩基との直交性を評価する目的で、鋳型に人工ヌクレオチドを配置したテンプレート鎖に対する各種天然ヌクレオチド三リン酸の組み込みを評価した。その結果、鋳型の人工ヌクレオチド残基に対して、特定の天然ヌクレオチド三リン酸が組み込まれてしまうことを確認した。 そこで、人工核酸塩基の構造を再設計することで、天然ヌクレオチドとの競合の解消を狙った。 今後は、新たに合成した改良型人工ヌクレオチド三リン酸を用いて、人工/人工間の相補性ならびに、天然ヌクレオチドとの競合を調査し、SELEX 法に適用できる核酸ユニットへの展開を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリメラーゼによる核酸複製において、相補的に機能すると見込まれる人工核酸ユニットのペアの開発に既に成功している。また、天然ヌクレオチドとの競合を解消できると考えられる、新たな人工核酸ユニットの合成に関しても既に成功している。
|
今後の研究の推進方策 |
天然ヌクレオチドとの競合を解消するべく新たに合成した人工核酸ユニットを用いて、人工/人工間を調査する。続いて、天然ヌクレオチドとの競合を調査し、SELEX 法に適用できる核酸ユニットへの展開を目指す。
|