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スピノザ論争史から読み解くバウムガルテンと18世紀ドイツ啓蒙思想の再評価

研究課題

研究課題/領域番号 19J20034
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
審査区分 小区分01040:思想史関連
研究機関一橋大学

研究代表者

津田 栞里  一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
研究課題ステータス 完了 (2021年度)
配分額 *注記
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2019年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
キーワードバウムガルテン / ヴォルフ学派 / スピノザ主義 / 敬虔主義 / 18世紀ドイツ / 形而上学 / 近代哲学史 / カント / ライプニッツ・ヴォルフ学派 / ランゲ-ヴォルフ論争 / スピノザ受容
研究開始時の研究の概要

美学の創始者として知られるバウムガルテン(Alexander Gottlieb Baumgarten, 1714-1762)は、従来、ライプニッツ・ヴォルフ学派の正統な後継者、及びカント哲学の先駆者という理解の下で研究されてきた。しかしながら、彼の哲学理論はスピノザ(主義)への批判的応答という特色をもつような、時代を色濃く反映したものである。この特色に着目した本研究は、当時の思想状況のより鮮明な再現を通じて、感性学としての美学創設という象徴的な出来事を切り口とした美学史の再編、将来的には単なる理性(知性)主義に留まらないドイツ啓蒙思想の豊かさを提示することが可能である。

研究実績の概要

2021年度の研究成果に関して、研究目的に即して、順に整理していく。
まず、A.(1)スピノザ(主義)批判の時代的前提の解明に関して、2020年度は18世紀前葉ドイツにおけるスピノザの用例(主に哲学者や神学者のテクストでの用例)を整理し、見取り図を獲得した段階であった。その成果を踏まえ、2021年度はバウムガルテンに直接的な影響を与えたランゲ-ヴォルフ論争の検討に取り組んだ。当該論争の内容の検討はもちろんのこと、そこでの論点が2020年度の成果と照らした際にいかなる点で同時代的で、あるいはカント以降の議論を予感させるような独自性をもつのかを検討することで、当該論争がスピノザを巡る論争史のなかの一つの転換点であったことが、その論題の面から明らかにされた。
また、A.(2)スピノザ(主義)批判を軸とした論争史の構築に関しては、2020年度におけるバウムガルテン『形而上学』諸版の異同への注目から、そこでの異同とスピノザ論争との関係をより明瞭に示すよう努めた。このことは同時に、『形而上学』を貫く一つの問題意識の解明でもあったことも書き添えておきたい。彼の同著作は、たしかに初版こそヴォルフ学派を広めるためのよく出来た教科書であったが、二版以降は同時代を代表するスピノザ論争への応答の書であり、伝統的な実体概念の乗り越えを図った野心的な著作である。スピノザ論争に焦点を当てて同時期のテクストを解釈し直すことは、従来看過されてきた重大な側面を照らし出すことを、バウムガルテンと彼へと至る当時の思想家の検討を行った本研究は示している。まさに、ここにB. 18 世紀ドイツ啓蒙思想の見直しという本研究課題の最終目的が果たされたと考える。

現在までの達成度 (段落)

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

報告書

(3件)
  • 2021 実績報告書
  • 2020 実績報告書
  • 2019 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] バウムガルテンの実体論における二重の差異化―――伝統的な理論の刷新とスピノザへの応答2022

    • 著者名/発表者名
      津田栞里
    • 雑誌名

      哲学

      巻: 73

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 実体化された現象(phaenomenon substantiatum)とは何か―実体的なもの(substantiale)による再構成の試み―2021

    • 著者名/発表者名
      津田栞里
    • 雑誌名

      日本カント研究

      巻: 22

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] バウムガルテンの世界創造論―近代ドイツ哲学における「流出(emanatio)」の一側面―2020

    • 著者名/発表者名
      津田栞里
    • 雑誌名

      新プラトン主義研究

      巻: 18 ページ: 37-48

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 金子晴勇『ヨーロッパの人間像――「神の像」と「人間の尊厳」の思想史的研究』」(コラム)2020

    • 著者名/発表者名
      津田栞里
    • 雑誌名

      加藤泰史・小島毅編『尊厳と社会』(下)、法政大学出版局所収

      巻: 下 ページ: 428-432

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] バウムガルテン『形而上学』(第四版)「経験的心理学」訳注:その62019

    • 著者名/発表者名
      樋笠勝士・井奥陽子・津田栞里
    • 雑誌名

      成城文藝

      巻: 247 ページ: 93-107

    • NAID

      120006764325

    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] バウムガルテンによる諸学の基礎づけ―形而上学から美学へ―2021

    • 著者名/発表者名
      増山浩人(オーガナイザー)・津田栞里・井奥陽子・桑原俊介
    • 学会等名
      日本哲学会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] ランゲのスピノザ論――バウムガルテンによるスピノザ主義批判の前史として2021

    • 著者名/発表者名
      津田栞里
    • 学会等名
      上智哲学会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 初期近代ドイツ哲学におけるスピノザ(主義)の群像2021

    • 著者名/発表者名
      津田栞里
    • 学会等名
      日本18世紀学会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 敬虔主義によるヴォルフ哲学批判はバウムガルテンにどのようなインパクトを与えたのか2019

    • 著者名/発表者名
      津田栞里
    • 学会等名
      日本カント協会
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [図書] 『スピノザと近代ドイツ』第四章 スピノザ論争がバウムガルテンに残した課題――実体に相応しいのは神か?被造物か?(津田栞里)2022

    • 著者名/発表者名
      加藤泰史編
    • 総ページ数
      430
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000010894
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [図書] 『フィクションの哲学:詩学的虚構論と複数世界論のキアスム』第六章 バウムガルテンにおける認識能力論の再検討――認識と自由の問題に関する一考察(津田栞里)2022

    • 著者名/発表者名
      樋笠勝士編
    • 総ページ数
      344
    • 出版者
      月曜社
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2019-05-29   更新日: 2024-03-26  

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