研究課題/領域番号 |
19J20035
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂本 遼太 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2020年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2019年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | アクティブ・マター / アクチン細胞骨格 / 非平衡物理学 / 細胞運動 / 自己組織化 / パターン形成 / 人工細胞 / 生物物理 / 非平衡物理 / アクティブマター |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内では,力生成を行うモータータンパク質と,力を空間的に伝える繊維状タンパク質から成る「アクトミオシン細胞骨格」が,細胞の運動や細胞核配置の対称性とその破れ,心筋細胞の拍動など生命維持に不可欠な機能を担っている.これら細胞機能をアクトミオシンの非平衡力学から理解するため,細胞小器官など他の要素による干渉を避け,理想化された系の構築が求められている.本研究では,アクトミオシンを細胞サイズのカプセルに封入した「人工細胞」に着目する.人工細胞内で自発的に形成されるアクトミオシン収縮波とアクトミオシン・ネットワークの動態を解析し,細胞内空間の対称性とその破れを力学的に検知するメカニズムを解明する.
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研究実績の概要 |
今年度は人工細胞液滴の自発運動メカニズムを引き続き探求した.自発運動の駆動力の起源を明らかにするため,液滴と基盤の間に蛍光ビーズを配置し,アクチン流動から外部の基盤への力伝達を可視化するForce Transmission Microscopyを開発した.そして,アクチン流動が生み出す界面摩擦と液滴が受ける流体抵抗のバランスで運動速度が決まる理論モデルを構築し,運動速度の液滴サイズ依存性の実験結果を理論的に説明した.以上から,周囲環境を利用する非接着型運動の力学を明らかにした.
次に,人工細胞に拘束されたアクチン細胞骨格が織り成すパターン形成を探求した.実験では,収縮力の増加に伴いアクチン流動からリング状の波に転移する条件を見出した.この結果を説明するため,アクトミオシンの収縮現象を記述するアクティブ・ゲル理論のシミュレーションを構築した.理論解析から,アクチン流動から波への転移が収縮力の強さと重合速度によって決まることが示唆された.この予測を検証するため,収縮力活性とアクチン線維重合速度を変化する薬剤を加える分子摂動実験を行ったところ,理論予測の相図が実験で定性的に再現され,アクティブ・ゲル理論の妥当性を裏付けた.
さらに,アクチン線維と液滴界面の結合を強固にすると,液滴の中心を軸に回転する波が現れることを見出した.この回転波が現れる条件を解明するため,実験で回転波が発生する初期段階に注目したところ,膜との結合のためにアクチンが膜から剥がれるのに時間がかかる「時間遅れ」があることが示唆された.この実験結果を理論で再現するため,初期収縮の時間遅れをシミュレーションに実装した.理論解析の結果,初期収縮の時間遅れによってリング状の波が徐々に不安定化し,最終的に回転波が安定化した.以上から,アクティブ・ゲルが対称性を破ることで多彩な非平衡構造を生み出す新たな力学的機構を明らかにした.
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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