配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2020年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2019年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究開始時の研究の概要 |
個人情報を集め, そこから必要な統計量を推定することがしばしば行われる. その際, 個人情報を保護しつつ推定精度を高めることは当然の要求である. しかし, 個人情報保護と推定精度はトレードオフ関係にある. 本研究では, このトレードオフ関係の最適化を目的とする. こうしたトレードオフ関係の最適化は, これまで古典情報を用いて研究されてきた. しかし, 本研究では量子状態を用いたトレードオフ関係の最適化も考える. さらに, 上記トレードオフ関係に関連して, 通信路や不確定性関係に関する研究も行う.
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研究実績の概要 |
2021年度は, 2020年度までの研究に足りなかった数学的な解析を行った. 以下, 2020年度の研究と比較しつつ, 2021年度の研究について述べる. 古典的データXを量子状態に変換した際の差分プライバシーを古典量子DP, Xを別の古典的データに変換した際の差分プライバシーを古典DPと記す. 差分プライバシーでは, 正のパラメータεでプライバシーレベルを表す. たとえば, εが小さいとプライバシーレベルが高く, εが大きいとプライバシーレベルが低い. 2020年度までの研究では, 同じプライバシーレベル (同じε) の場合に古典と量子を比較した. 2021年度は, 異なるプライバシーレベル (異なるε) の場合に古典と量子を比較し, 古典DPと古典量子DPの差をプライバシーレベルのずれで定量的に評価することに成功した. これをもう少し詳しく述べる. ここで注目したい性質は, 有用性 (utility) とプライバシーレベルである. 一般に, プライバシーレベルを下げれば有用性が上がり, プライバシーレベルを上げれば有用性が下がる. これを踏まえると, 2021年度の研究成果は以下である. 一般に, 有用性は古典DPより古典量子DPの方が優れている (2020年度までの研究). しかし, 古典のプライバシーレベルを犠牲にすれば, 有用性の関係が逆転することを示した. さらに, どの程度プライバシーレベルを犠牲にすれば有用性の関係が逆転するのか, 定量的に評価した.
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