研究課題/領域番号 |
19J20389
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山野 弘樹 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2019年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ポール・リクール / 現代フランス哲学 / 解釈学 / 歴史哲学 / アイデンティティ / 他者 / 倫理学 / 歴史意識 / 倫理 / 現象学 / フランス現代哲学 / 物語論 / 他者論 / 自己論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、後期リクールが論じた「歴史的時間」論を明らかにすることを通して、『時間と物語』に通底する「歴史的存在論」の思想を解明することである。また本研究は、後期リクール哲学を体系的に理解する枠組みを提示するだけでなく、後期リクール哲学を通して20世紀の現象学運動が解釈学的に発展したという哲学史の歩みを明示することを目指す。 そのため本研究は、上述の研究目的に応じて(1) 『時間と物語』第一部における「三重のミメーシス」の解明、(2)第二部・第三部における「歴史とフィクションの交叉」の内実の解明、そして(3) 第四部における「物語の詩学」の存在論的含意の解明という三つの研究課題に取り組む。
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研究実績の概要 |
今年度は、ポール・リクールの主著の一つ『他としての自己自身』の中に登場する最重要概念である「自己性」および「証し」概念の解釈を、『時間と物語』における「負債」概念および『記憶・歴史・忘却』における「市民」概念の観点から行った。現象学、歴史学、文学理論、神学、精神分析など、その都度様々な学問領域に自らの議論の射程を伸ばすリクール哲学の全容を体系的に理解するのは容易なことではない。しかし、本研究においては、これまでの研究成果(とりわけ『時間と物語』における歴史意識論と『記憶・歴史・忘却』における歴史記述論)の知見を用いつつ、『他としての自己自身』において展開される「自己の証し」と呼ばれる議論の内実を解釈した。 リクールの「自己の証し論」を理解するためには、段階的に「自己性」および「証し」概念の内実を解釈していく必要がある。マルティン・ハイデガーとエマニュエル・レヴィナスの間の道を志向するリクールにとり、「自己性」とは「他者から到来する命令」に自己を差し出し、その命令を自らの「良心」(すなわち「自己に内在する高次の他性」)として内面化することによって構成される主体性を指す。本研究の独自性は、こうした「自己性」に関わる「命令」概念の内実を歴史意識論の視座から解釈した点に存する。『時間と物語』において、リクールは「決して忘れない」‐「決して繰り返さない」という過去の他者からの懇請に応答することが歴史的存在者である人間には根源的に求められていると論じた。散逸的な印象を持たれるリクールの思想であるが、「歴史哲学」という解釈の枠組みを設定することで、後年のリクール哲学の特質を統一的かつ体系的に理解することができるのだ。さらに本研究はリクールの「自己」概念が「市民」概念として彫琢されることを論じることを通して、リクール哲学の今日的意義をも示すことができた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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