配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2019年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究開始時の研究の概要 |
ダークマターは間接的観測により粒子の存在が示唆されているが,直接検出には至っていない. 世界最大規模の直接探索実験,XENONnT実験でダークマターの探索を行い,世界初の直接検出をめざす.ダークマターの探索実験は最大限の大型化,低背景事象化がすすめられているが,極限の感度向上のためには,環境中性子対策が必須となる.環境中性子はダークマターの信号と原理的に全く区別のできない背景事象となる. 本研究では, 中性子検出器を開発,XENONnT検出器に導入し,中性子反同時計測を行うことによって積極的背景事象の低減をめざす.反同事計測のために,ガドリニウムを添加した水チェレンコフ検出器を開発,導入する.
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研究実績の概要 |
暗黒物質の存在は宇宙の観測によって強力に示唆されているが, 地上での直接検出は報告されていない. 中でも, Weakly interacting massive particle (WIMP)が有力な候補と考えられている. この検出のために, 大型のキセノンTPCを用いた探索が計画, 実施されている. キセノンTPCは電子反跳事象と原子核反跳事象を区別することが可能であり, 近年大きな成果を上げている. XENONnT実験は世界最高感度での探索を行ったXENON1T実験の後継実験であり, 大型化に加えて原子核反跳事象を起こす背景事象となる中性子に対しても対策を行うため, 中性子反同時計測システムの導入を行う. 暗黒物質直接探索実験XENONnT実験において, 中性子反同時計測システムの導入, 調整を行った. 中性子反同時計測システムは, キセノンTPCの周囲に設置された水チェレンコフ検出器である. 低放射能化を進めるために, 背景事象源となる光電子増倍管を必要最小限に配置しており, 一般の水チェレンコフ検出器に対してカバレッジが小さい. 本実験では光子の収集効率を高めるため, 反射材であるePTFEを用いている. このePTFEの反射率が実験中に変化してしまうと, 正確なタグ効率を評価することができず, 暗黒物質に対する感度を正確に見積もることができない. ePTFEの反射率測定のために, レーザーを用いた光較正システムを導入した. 光が検出器内で何度も反射され, 光電子増倍管に検出されるまでの時間分布は, ePTFEの反射率に依存する. 較正を実施し, WIMPへの感度を評価した.
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