研究課題
特別研究員奨励費
抗レトロウイルス薬多剤併用療法の確立・発展により、AIDSの発症を抑制することが可能になっている。しかし、HIV-1感染に対する根治療法はいまだに確立されていない。この主因として、HIV-1感染者が示す病態進行・予後には個人差があり、この差異を規定する分子メカニズムがほとんど明らかになっていない、ということが挙げられる。この問題に対し、ヒト白血球型抗原 (HLA)の多型が、感染者ごとの病態の差異を生みだす因子として明らかになっている。そこで本研究では、HLA多型のひとつであるHLA-B35に着目し、この多型がHIV-1感染症において病態進行のリスクファクターとなる分子メカニズムを解析する。
本研究の目的は、「HLA-B35拘束性のCTL応答から逃避することで生じたE76K変異体は、APOBEC3Fによってもたらされる変異によって多様化し、病態進行を亢進する。これが、HLA-B35がHIV-1感染に対するリスクファクターとなる原因のひとつである」という仮説を検証することである。本検証により、HIV-1感染者それぞれが示す病態進行と予後になぜ個人差が生じるのか、その分子メカニズムの一端の解明へとつながることが期待される。この目的を達成するために、昨年度は、初年度に構築したIn vitro実験系に必要な材料を用いて、実際に変異ウイルスを取得するためのIn vitro感染実験を行なった。具体的には、ウイルスの感染が完全に阻害されることなく、細胞の増殖速度とウイルス感染による細胞死の速度が平衡状態を保つような一定の薬剤濃度でウイルス感染細胞を長期間培養する手法、培養期間とともに徐々に薬剤の濃度を上げていく手法、ウイルスプラスミドとAPOBEC3F発現ベクターを細胞に一過性にco-transfectionし、上清中に放出されたAPOBEC3F結合ウイルスを回収、そのウイルスを新しい細胞にsingle round infectionさせ、放出されたウイルスを回収することで、APOBEC3Fによる過剰な変異挿入を防ぐ実験系といった複数の実験系を用いて変異ウイルスの取得を試みた。しかし、変異ウイルスの取得には至らなかった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 13件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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