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キュロスのテオドレトスの聖書註解を手がかりとした古代キリスト教思想史の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 19J21033
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
審査区分 小区分01040:思想史関連
研究機関東京大学

研究代表者

砂田 恭佑  東京大学, 大学院 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
研究課題ステータス 完了 (2021年度)
配分額 *注記
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2020年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2019年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワードアンティオキア派 / キュロスのテオドレトス / 聖書解釈 / ギリシア教父 / シリア・キリスト教 / 古代末期 / 聖人崇敬 / 教理論争 / 七十人訳聖書 / 註解の伝統
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は、古代末期の聖書解釈史に再検討を加えることにある。それは従来「アレクサンドリア学派/アンティオキア学派=寓意的/字義・歴史的」の二項対立のもとに置かれ、前者による哲学的思弁との関連に偏った注目が与えられてきた。しかしこのような図式化は例えばアンティオキア派のテオドレトス(393?-458?)による浩瀚な聖書釈義の等閑視により成り立っているように思われる。
対して本研究では、特に各旧約詩篇が有している「題」に対する彼の見解が同時代に類例を見ないものであることに着目し、それを鍵に彼による旧約註解書が示している手続きおよび思想の展開を検討する。5世紀の聖書解釈史に位置づけることを目指す。

研究実績の概要

令和3年度は、前年度に引き続き、テオドレトスの聖書註解の背景に存した知的・文化的状況を広く検討し、明らかにすることができた。その際、具体的に言えば以下のような観点から検討が行われた。
1. 「アンティオキア派」の背景としての4世紀アンティオキアにおける著作文化への注目、2. テオドレトスを含む「アンティオキア派」の聖書註解に対する俯瞰的考察

1. 前年度の研究成果を踏まえて、今後の研究推進方策として策定した、「アンティオキア派」以前の著者たちに関する研究を進めた。具体的に言えば、Hagedornが先行研究で「アレイオス派のユリアノス」の著作と位置付けていた偽イグナティオス書簡集について、彼を含む先行研究を批判的に検討ししつつ、それがアンティオキア・キリキアという「アンティオキア派」が活動した地域のキリスト教共同体と密接な関係を持っていることを考察した。この偽イグナティオス書簡集とヨアンネス・クリュソストモスやモプスエスティアのテオドロスの著作を比較検討することで、教理や思想だけではなく、文学的志向の面からアンティオキア派全体を再考することができた。

2. テオドレトスが描き出す教会史において、エルサレムのキュリロスやタルソスのシルウァノスなど元来微妙な立場をとっていた人々はニカイア派の闘士として単純化した仕方で描き出され、むしろ彼らのアレイオス派との対決が強調されていた。つまりそれは、テオドレトスはこれら曖昧な記憶に関して疑念を呼び起こす心配を持っていなかったということであり、1. で明らかにした、「アンティオキア派」の先人たちの著作と偽イグナティオス書簡集を比較対照したときに明らかになる、共通性と決定的な差異という微妙な関係とは決定的に異なるものである。この姿勢は、前年度までに明らかにした聖書註解の性格とも併行するものである。

現在までの達成度 (段落)

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

報告書

(3件)
  • 2021 実績報告書
  • 2020 実績報告書
  • 2019 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] キュロスのテオドレトス『詩篇註解』における題解釈と救済史観2021

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 雑誌名

      エイコーン

      巻: 49 ページ: 28-54

    • NAID

      40022808571

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] キュロスのテオドレトスにおける「シリア語」問題再考2021

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 雑誌名

      年報 地域文化研究

      巻: 24 ページ: 76-99

    • NAID

      40022703848

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 体罰否定は教育の放棄か?―ヨアンネス・クリュソストモスの『箴言』13章24節釈義とその背景―2021

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 雑誌名

      パトリスティカ

      巻: 24 ページ: 1-23

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] アンティオキア派の一背景としての偽イグナティオス書簡集研究 ――著者問題と4世紀キリスト教史におけるその位置付け――2022

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 学会等名
      古代・東方キリスト教研究会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 同「アンティオキア派聖書釈義の一背景としての「アレイオス派」ユリアノス」2020

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 学会等名
      古代・東方キリスト教研究会
    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
  • [学会発表] 体罰否定は教育の放棄か?:ヨアンネス・クリュソストモスの『箴言』13:24釈義とその背景2019

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 学会等名
      第168回教父研究会
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [学会発表] 論争・探究・説得・演示:古代末期東方キリスト教世界における「対話篇」とそれが提起する諸問題2019

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 学会等名
      第19回東方キリスト教学会 シンポジウム
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [学会発表] ヨアンネス・クリュソストモス(ca. 347-407)の体罰抑制論:古代末期における教育倫理言説の一形態としての『箴言』13章24節釈義2019

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 学会等名
      西洋古代史サマーセミナー
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書
  • [学会発表] 披かれる聖典、披かれる古代釈義:アンティオキア派による「古代イスラエル」 、近代聖書学による「アンティオキア派」の受容2019

    • 著者名/発表者名
      砂田恭佑
    • 学会等名
      駒場人文学研究会 第3回ワークショップ
    • 関連する報告書
      2019 実績報告書

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公開日: 2019-05-29   更新日: 2024-03-26  

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