研究課題
特別研究員奨励費
位相幾何学におけるホモトピー論とは、空間の持つ性質のうち、その上の線分を潰しても変化しないものを扱うことを目的としていた。モチヴィックホモトピー論とは、その代数幾何学における類似理論であり、代数多様体内の直線を潰しても変化しない性質を扱う。本研究は、このモチヴィックホモトピー論に相対的手法を導入することを目的としている。このような手法は通常のホモトピー論においては頻繁に用いられるものである。またこれらの応用として、位相幾何学において見られる種々の定理のモチヴィック版の証明も行う。
モチヴィックホモトピー論に対する深い理解を得る必要性から、無限圏における余層理論の基礎を与えた。無限圏とは、ホモトピー論的な議論を行うために定式化された、圏の一般化であり、同じくホモトピー論のために定式化された圏であるモデル圏などよりも、フレキシブルな構成が可能となっている。また余層とは層の双対バージョンのようなもので、層が反変関手であるのに対し余層は共変関手であり、また層を定義する際に用いられたイコライザー図式をコイコライザー図式に置き換えたものである。本研究では、まず手始めに無限圏バージョンの余層の定義を行った。無限圏論的な層はチェックナーヴの極限を使って定義することができるが、本研究ではその双対、すなわち余極限を使って余層が定義される。さらにこの定義の下での余層の持つ基本性質として、(無限圏論的な)余層の成す無限圏が、ある種の左随伴関手の成す無限圏に無限圏として同値であることを証明した。この結果は無限圏における非退化双線形写像の類似物を考えることによって得られたものである。またこの主定理の帰結として、層化関手の双対バージョンである余層化関手の無限圏論的類似物を与えることに成功した。これは通常の圏論における余層化関手の存在性定理の無限圏バージョンと言える。また本研究をルーリーによる無限トポス理論の文脈では、層の成す無限トポス上で定義された左随伴関手を余層と解釈することが出来る。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Homology, Homotopy and Applications
巻: 24(1) 号: 1 ページ: 129-141
10.4310/hha.2022.v24.n1.a7
巻: -
https://arxiv.org/abs/1904.08644
https://arxiv.org/abs/2002.05918