研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、金属酸化物半導体表面上に第一遷移金属酸化物を修飾した光触媒を用いた水の完全分解反応に関する研究を行う。申請者は前年度までに、酸化チタンをはじめとした金属酸化物半導体に対し、表面上に酸化コバルトを修飾することによって、可視光の全領域の吸収および水の可視光酸化反応を実現した。本系では表面コバルト種から半導体への電子遷移によって反応が進行していると考えられているが、未だに水の完全分解反応は実現できていない。そこで本研究では、担体である半導体および表面上のナノ粒子双方の最適化を行うことによって、水の酸化光触媒活性の向上および、水の完全分解反応の実現を目指す。
申請者は、酸化チタン上に修飾した水の酸化用ナノ粒子の化学ポテンシャルの測定手法の確立を目的として、より詳細な調査を行った。昨年度までに酸化コバルトナノ粒子に対して確立した手法を用い、水の酸化用ナノ粒子として広く知られている金属酸化物種(酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化イリジウム、酸化ルテニウム)に対し、それぞれの電子の電気化学ポテンシャルを50mV以内の精度で測定することに成功した。さらに、測定用水溶液中に含まれるpH緩衝剤の効果についても検討を行い、より高精度な測定手法へと改良することができた。得られた成果は論文としてまとめ、現在国際学術誌へ投稿中である。またオンラインで開催された複数の国内外の学会にて、成果を発表し、多くの専門家と意見交換することができた。また、酸化コバルトナノ粒子の化学ポテンシャルについて、粒径依存性の調査を行った。その結果、数十mV程度の有意なポテンシャル差が確認され、理論的に考えられている量子サイズ効果を、実験的な手法で直接観測することに成功しつつある。次に、プラズモン-ファブリ・ペローナノ共振器間の強結合を利用した光デバイスに対する酸化コバルト助触媒の位置選択的光析出に取り組んだ。本研究は北海道大学三澤研究室と共同で行い、昨年度に論文発表した金ナノ粒子担持酸化チタン光電極への酸化コバルト助触媒の担持手法を応用した。本研究内容は国内で開催されたオンライン学会にて発表を行い、外部の先生方と議論を深めることができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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