研究課題/領域番号 |
19J22110
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
軽部 利恵 奈良女子大学, 人間文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2021年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2020年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2019年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 万葉仮名 / 上代特殊仮名遣い / 清濁 / 仮名表記 / 上代文献 / 萬葉集 / 唐招提寺文書 / 文字表記 / 文字 / 表記 / 訓仮名 / 仮名 / 上代 / 万葉集 |
研究開始時の研究の概要 |
上代特殊仮名遣い研究は、上代日本語の様相の把握だけでなく、文学作品の解釈や、出土文字資料の解読に繋がる研究である。研究自体は隆盛を極めつつも、根本的な部分で未解決の課題が残されており、日本語と、日本の文化を考える上で不可欠な課題であるといえる。本研究は、これまで音韻・音声的に研究されることの多かった上代特殊仮名遣いを、表記・書記の観点をふまえ、再検討するもので、古事記、日本書紀、萬葉集などの写本上に存する資料だけでなく、一次資料である木簡や正倉院文書をも研究対象とし、網羅的で、横断的な上代特殊仮名遣い研究を行う。出土文字資料という最新の知見をふまえ、書くことの本質に迫ることを試みるものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、以下のことを明らかにした。 1、上代特殊仮名遣いの「違例」として処理され、用例数が四〇〇例と極めて多い、訓仮名「跡」について、歌一首の表記の中で「跡」は助詞「と」に固定的であるために用例数が蓄積された。 2、清濁の表記とその「違例」について、仮名字母の分類である〈清音仮名〉〈濁音仮名〉は、上代文献中の文字表記を体系的に整理し、見出されたものである。「違例」は、見出された体系に整合性を与えようとするあまり、「不正」とみなされたり、「滝」の語形を「たぎ」とみなす(訓仮名「瀧」をタギとみたことから)といったことが近世の国学者石塚龍麿によってなされた。研究史では、仮名字母と音の関係は、音節仮名表のように把握されてきた。 3、仮名表記は、音の別を必ず写像するものとは言い難い。木簡の「違例」は、規則に反する違反というより、テクストの内容を共有する人々の間で了解される表記である。萬葉集中の訓仮名の「違例」は、仮名字母の別に頼らずとも、文脈から語が同定される。清濁をめぐって、仮名表記は、まとまりのある文字列の単位で読解される。音と仮名との結びつきは、ゆるやかな側面があったと言いうる。先行研究で「違例」とされてきたものは、当時にあって、書き分けられるべき区別に違反するものとして書かれた(読まれた)ものでなく、上代特殊仮名遣いの甲類・乙類や清濁は、仮名表記から復元された語形の中に存するものである。語と仮名表記の固定性、それによる表語性を今後議論していく上で、1は重要な用例を提示し、分析している。2は、従来の研究手法の再検討であり、仮名字母から音の別を見出すよりも、文字列から語(意味)が伝達されるという点を考察したものである。 4、唐招提寺文書の「家屋資財請返解案」は、三つのテクストにより構成されている。文書の表記のあり方が、言語的な質の違い・文体の違いに関与しているものとみられる。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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