研究課題/領域番号 |
19J23164
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
刑部 昂 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2019年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 黒人文学 / クロード・マッケイ / ソネット / プロテスト / 黒人問題 / ハーレムルネサンス / 二重意識 / ハーレム・ルネサンス / トニ・モリソン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アフリカ系アメリカ人の女性作家トニ・モリソンの諸作品を主たる研究対象としている。単にアメリカ人であるだけではなく黒人女性でもあるという立場から執筆するモリソンの作品においては、アメリカにおいてしばしば「主流」とされる白人男性中心的な価値観だけではなく、そうした価値観においては見落とされてしまったり、あるいは瑕疵のあるもの、間違ったものとして否定的に捉えられてしまいがちな黒人文化や女性文化を肯定的に受け入れる方法が絶えず模索されている。本研究では、モリソンが「主流」の価値観に留意しつつもそこから零れ落ちるものを汲み取ることでより多様な価値観の可能性を示していることを明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
2021年度は、前年度に引き続き、ハーレム・ルネサンスを代表する作家であるクロード・マッケイを対象に研究を行った。前年度は、マッケイのプロテスト・ソネットにおける主体が、アイデンティティを特定できない形で描かれていることに注目することで、ソネットの声が、当時退廃しつつあったソネット形式自体の自己言及的な抵抗や人種差別に争う黒人たちの声としてだけでなく、他の多様な人々の声としても再分脈化可能であることを研究した。2021年度は、そのような理解を手がかりとして、マッケイの小説作品の読解を試みた。賭博場やキャバレー、娼館などでの黒人労働者たちの風俗を描いた代表作Home to Harlem(1928)は、発表当時から、黒人知識人たちが提唱するrespectableな新しい黒人像(New Negro)と逆行するものとしてしばしば批判されてきた。近年の研究では、作品内に描かれるジャズやブルースといった民衆音楽に注目することで、知識人階級とは異なる形での文化的抵抗が示されていること、そうした抵抗の声が音楽とともに全世界に拡散していったことなどが示されてきた。こうした先行研究を受容しつつ、本研究者は本作品でも言及される、ウィリアム・ワーズワースやH. G. ウェルズ、ジョージ・バーナード・ショーといった先行するイギリス文学との関係性を問い直すことで、マッケイが当時の潮流に逆行してまで労働者階級の民衆音楽を描かなければならなかった理由を掘り下げることを試みた。この成果は2022年6月の日本アメリカ文学会東京支部会において発表する予定である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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