研究課題/領域番号 |
19J40246
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 麻友美 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 大脳発生 / 神経前駆細胞 / 力学 |
研究開始時の研究の概要 |
発生過程の大脳では、動物種によってそれぞれ、神経前駆細胞から決められた時期に決められた数と種類の細胞が作られ、最終的にサイズや形の異なる脳を形成する。 本研究では、脳のサイズや形の違いが生み出された原因を探るために、複数の動物を用いて、神経前駆細胞の細胞を産生する能力や動き、周囲の組織の力学的環境の違いに着目し、それらの実態と制御機構を明らかにすることを目標としている。
|
研究実績の概要 |
発生過程の大脳では、動物種によってそれぞれ、神経前駆細胞から決められた数、種類のニューロンが決められた時期に正しく作られ、最終的にサイズや形の異なる脳を形成する。ヒトを含む霊長類などにおいて見られる脳のサイズの拡大や形の複雑化が、どのように制御されているのかという問いは、多くの研究者が注目している重要なテーマの一つであるが、その全貌は明らかにされていない。 本研究では、動物種間での脳のサイズや形の違いに寄与した分子メカニズムを明らかにするために、マウスに加えて、サイズや形が異なるフェレットの大脳を対象として、(1) タイムラプスイメージングなどを用いた組織レベルでの解析と、(2)トランスクリプトーム解析を用いた分子レベルでの解析を組み合わせ、力学的観点から、神経前駆細胞の細胞産生能や動態がどのように規定されているのか、それらの違いを生み出す制御機構の解明を目的としている。 これまでに、大脳発生過程において発現している機械受容チャネルの機能解析を行った。その一つである、Piezo1に着目した機能解析実験から、Piezo1による力の感知が、神経前駆細胞の細胞産生パターンに影響を与えることを見出した。そして、その結果、マウスにおいてヒトやフェレットが持つようなシワ様構造を誘導することに成功した。今後、マウスとフェレットの脳組織における力学的状態の違いや、Piezo1を介した力の感知の違いについて、さらに詳細に解析したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、力学的観点から、機械受容チャネルに着目した機能実験を行い、Piezo1に注目した機能解析実験から、Piezo1による力の感知が、神経前駆細胞の細胞産生パターンに影響すること、および、シワ様構造の誘導に関わるという表現系を得た。このことは、動物種間での脳のサイズや形の違いに寄与した分子メカニズムを明らかにするという本研究目的に非常に有益なデータを与えたことから、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、Piezo1による力の感知が、神経前駆細胞の細胞産生パターンに影響し、シワ用構造を誘導するということが見出された。今後は、マウスとフェレットの大脳組織において力学的状態がどの様に異なっていて、それによってPiezo1を介したシグナルカスケードがどの様に異なっているのか、マウスとフェレットにおける比較トランスクリプトーム解析等を利用しながら、脳のサイズや形の違いを生み出したメカニズムをさらに詳細に追求したい。
|